あらすじ・概要
同性愛者の著者は、中年に差しかかり、体の老いを感じ始めていた。ひとりは気楽と言いながら、恋をしたい気持ちもある。ときにネガティブになったり、家族のありがたみを感じたり。揺れ動く心を抱えながらも、中年の日々をユーモアで笑い飛ばすコミックエッセイ。
露悪的で下ネタだけどユーモアの範囲を超えない
この著者を初めて読んだんですけど、クオリティの高いコミックエッセイで何冊も本を出しているのはなるほどなと思います。
絵がうまいとかコマ割りがすごいとかとはちょっと違って、「露悪的だったり下ネタだったりするけどそれをユーモアの範囲で収める」のがうまいんですよね。バランス感覚があります。
現実、いつもニコニコ笑って毎日過ごせるわけではないし、性の問題も生きていればなかなか回避しづらいです。そういう他の人に話しにくい話題を、笑いを交えながら丁寧に描きます。だからこそ自分のネガティブな感情が許されたようでほっとします。
同性愛者ならではの話題もありますが、「ひとりは気楽」と「でも誰かと愛し合いたい」という気持ちの中で揺れ動き、へこんだり卑屈になったりするところは普遍的な悩みなのではないかと思います。ひとりでいても、誰かといてもすっぱり「幸せ」でいられることは少ないんでしょうね。
読者にだめな自分を見せつつも、笑いによって「許す」ところが読者も癒されるのでしょう。