ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

親子関係をテーマにしたおすすめコミックエッセイ7選

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

今日のまとめは親子関係を描いたコミックエッセイのおすすめまとめです。

私の興味範囲の問題で、介護や毒親の話が多いです。

 

 

漫画家、すい臓がんになった母親を看取る『ありがとうって言えたなら』

漫画家である著者の母親が、すい臓がんだと告知される。余命は長くて1年。姉のいる大阪に母は移り、著者はそこへ何度も通う。世話をする姉につらく当たったり、いらいらしたり、死に追い詰められた母は変わっていく。

変人だったけれど強くて美しかった母親が、死が少しずつ近づいてくるにつれて理性を失い、見た目も痩せていって、変わっていく姿が読者の視点からもつらかったです。

そして死への不安から、いらいらしたり、周囲に当たったり、最後にはせん妄状態になったり、その精神状態は感動的とは程遠いです。著者と姉は振り回され、苦しみながら母親を看取ることになります。

「親の死」と向き合うことの苦しみ、そしてその先にある救いを描いた作品でした。

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

介護士、両親の介護に追われる『両親認知症Uターン すっとこ介護はじめました!』

49歳で介護ヘルパーになり、介護士としてキャリアを積んできた著者。しかし両親の認知症が進行し、故郷に帰らなければならなくなる。著者がそこで見たのは、混沌とした家の現状だった……。

コミカルな絵柄で暗くならないようにはなっていますが、なかなか壮絶なコミックエッセイです。認知症になったことでわがまま放題になり、排泄は失敗し、サラダ油をお酒と間違え、夜中に食器を並べだす。

そんな親の介護を、介護士として働きながらこなし、必要であればケースワーカーと相談したり、入れる施設を探したり。本当に忙しいです。

認知症なのでやっていることはめちゃくちゃなのですが、ふと正気に戻って、家族を気遣うこともあります。その瞬間を見ると、嫌いになることはできないなと感じました。そのほかにも間一髪で認知症の母親が同じく認知症の父親を119番して助けたエピソードなど、ちょっとほっこりする話題が挟まれていることに救われました。

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

漫画家として働きながら老親の介護『親の介護、10年め日記。』

夫婦漫画家の著者ふたりは、歩けなくなった妻の母親の介護を帰省して行いながら東京で仕事をしていた。そんな中、父親が腎不全で入院。いよいよ母の世話ができなくなったことから、老人ホームを探し始める。しかし、父もまた様子がおかしくなってきて……。

この作品で一番怖かったのは、著者の父親がタクシーで何時間も徘徊し、母親の貯金をすっからかんにしてしまったことです。そのせいで、母親は有料老人ホームに入ることができなくなり、価格の安い特別養護老人ホームに申し込むことに。

とりあえずお金を貯めておけば老後は安心だろうと思っていたのですが、認知症になった結果お金を浪費してしまう可能性は考えていませんでした。衝撃。

 

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

母の支配から離れてエホバの証人から脱出するまで『カルト宗教信じてました』

母親が「エホバの証人」に入信し、自らもエホバの証人に引き入れられてしまった著者。幼いころ頭に刷り込まれた価値観を、当たり前のものとして暮らしてきた。しかし信者の中では不真面目な夫と結婚し、子をもうけてから、少しずつ団体に疑念を抱き始める。

日本では特定の宗教団体を名指しで批判することは少ないので、なかなか勇気のある本だと思います。

描かれているのはエホバの証人の閉鎖的な社会や体罰の肯定、極端な娯楽の規制など。子どもをこういう社会に閉じ込めるのは心が痛みます。

著者は子どもの病気をきっかけに、エホバの証人とはっきり決別することになります。エホバの証人は輸血を否定するため、信仰を捨てなければ子どもを救えませんでした。追い詰められた著者が決断するシーンは心が動かされました。

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

母を反面教師に子育てをする『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』

過干渉な母親のもとで育ち、なんとかその重圧から脱出した著者。そんな著者も子どもを授かった。しかし、子育ての最中にも、「母」から受けた仕打ちがよみがえる。「こうあるべき」という固定観念を押し付けず、子どもを育てるにはどうすればいいのか。トラウマ持ちの著者の苦闘が始まる。

著者は過干渉な母親に「こうあるべき」という固定観念を押し付けられ続けていたので、子どもにはそうしたくない、と強く願っています。

しかし子が「女の子だからピンク」と、「女の子らしさ」に執着するようになって戸惑ってしまいます。「女の子らしい」という固定観念に囚われるのはよくない、個性的に生きるべきだ、と。よく考えればピンクやフリルやリボンに個性が宿っていないわけではありません。著者はそれが「押しつけ」だと気づきます。

結局のところ、毒親かそうでないかを分けるのは善意でも倫理でも優しさでもなく、ときどき立ち止まって自分の行動を振り返り、「おせっかいじゃないかな」「考えを押し付けてはいないかな」と自省できるかどうかなのだと思います。

 

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

母親の残した借金と戦う『母の形見は借金地獄 全力で戦った700日』

母親から虐待を受け、また、自身もゲイであるためいじめの対象になっていた著者。そんな著者も現在は落ち着いた暮らしをしており、母とも和解を試みていた。しかし、母が急死。彼女が残したのは、多くの借金だった。著者は借金を返済するため、保険会社を相手取り、裁判で生命保険の金を入手しようとする。

著者は母親から虐待を受けていたため、今でも母親に対して複雑な気持ちがあります。

しかし母親が虐待するほど追い詰められたのは、父親が身勝手な行動をして母親を顧みなかったことも一因でした。

縁を切られて当然のことをした母親を見捨てず、さらにいいところを見てあげようとする著者の態度はすごいですね。

みんなが著者のように毒親を許すべきだとは思わないのですが、場合によっては許すことで得られるものもあるんだな、と感じました。

honkuimusi.hatenablog.com

 

 

虐待されて育った女性が探る虐待しない子育て『ワタシはぜったい虐待しませんからね!』

父親に虐待されて育った著者は、結婚して息子を産んだ。過去のトラウマから決して虐待しないと誓うも、思い通りにならない育児に疲弊していき、ついに手を上げかけてしまう。このままではいけないと、育児のイライラをコントロールするために方法を模索する。

『ワタシはぜったい虐待しませんからね!』というタイトルから、「ああこの話はきっと虐待寸前まで行くんだろうな」と思い、その通りの作品でした。著者が多忙な乳幼児の子育ての中で疲弊し、追い詰められていくところはすごかったです。怖い。

このままでは虐待してしまうと思った著者は、どうにか理性を手放さないよう、模索を始めます。

かなりネガティブで思い場面も多いのですが、絵柄や表現がコミカルで少し突き放して考えられ、読みやすかったです。

honkuimusi.hatenablog.com