ブックワームのひとりごと

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ギャンブルにはまる人々をどう救い、社会に戻していくか―田中紀子『ギャンブル依存症』

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ギャンブル依存症 (角川新書)

 

あらすじ・概要

日本の依存症者は20人にひとりと言われている。その中のひとつ、ギャンブル依存症はときに犯罪を引き起こし、子どもの教育に悪影響を与える危険なものだ。ギャンブル依存症の人々をいかにサポートし治療していくか、ギャンブル依存症の家庭で育った著者が解説していく。

 

依存症は社会の問題

これを見てるとやっぱりウマ娘のブームは一概に肯定できないと思います。日本におけるギャンブル依存症の問題は、自己責任論がはびこっていて、「ギャンブル依存に陥る人は不真面目でやる気のない人」と思い込まれています。

しかしギャンブル依存症者は、ギャンブル以外では問題のない人も多いです。真面目なエリートサラリーマンだってギャンブル依存症になる。人によってのめり込みやすい、体質や成育歴があるのです。

 

著者は「なぜギャンブル依存になったのか、という理由探しはしなくていい」と説きます。悪者を作ってもギャンブル依存は治りません。大事なのは自助グループへの参加や家族の対応、社会の理解なのです。

 

ギャンブル依存症の支援施設を作ろうとすると、住民の反対運動が起きるなど、なかなか「依存症は社会の問題」と思ってもらえない事実があります。精神疾患の中でも理解を得られにくいものだと思います。

日本はギャンブル依存症の対策には後手に回っており、当事者や家族だけではなく、他の人々も対策を求めて政治に働きかける必要があるのだと思います。