あらすじ・概要
見たものをすべて記憶する能力を持つ「カメラアイ」を持つアイ。その類まれなる「目」を買われ、ある実験に参加することになる。それは、AIと対話することだった。そのAI「アイザワ」に恋をしたアイは、戦争から世界を救うための戦いに巻き込まれていくこととなる。
多重的な要素をまとめたSFエンタメ
SFでラブストーリーでサスペンスでエンタメでした。ここまで多重的な要素をきっちり書ききるのはすごいですね。
アイザワに恋をしたアイが、世界の命運をかけた戦いに巻き込まれていく過程ははらはらしました。そして戦争が起こる理由、黒幕は誰なのか……という秘密が明かされ、事態はどんどん壮大になっていきます。
オチ自体はすごく珍しいものではないですが、ここまでの作品のテーマやアイとアイザワの関係を踏まえるとこういう終わり方もありだと思いました。一貫して物語のための物語だったんですね。
人外と人間の恋愛ものとしても面白かったです。
一方、尺が短いのでどうしても駆け足に終わったところは惜しいです。もう1冊ぐらい増やしてキャラクターの描写に割いてくれたらも嬉しかったです。大人の事情かもしれないんですが……。
サクッと読めて面白い作品でした。また読みたい。