今日の更新は人外と人間の恋愛漫画おすすめまとめです。
好きなネタではあるんですが同時に好きすぎて評価が辛くなるジャンルでもあるのでおすすめできるものが少ないんですよね。
AIと恋に落ちた少女が世界を救う『アイとアイザワ』
見たものをすべて記憶する能力を持つ「カメラアイ」を持つアイ。その類まれなる「目」を買われ、ある実験に参加することになる。それは、AIと対話することだった。そのAI「アイザワ」に恋をしたアイは、戦争から世界を救うための戦いに巻き込まれていくこととなる。
SFでラブストーリーでサスペンスでエンタメでした。ここまで多重的な要素をきっちり書ききるのはすごいですね。
アイザワに恋をしたアイが、世界の命運をかけた戦いに巻き込まれていく過程ははらはらしました。そして戦争が起こる理由、黒幕は誰なのか……という秘密が明かされ、事態はどんどん壮大になっていきます。
オチ自体はすごく珍しいものではないですが、ここまでの作品のテーマやアイとアイザワの関係を踏まえるとこういう終わり方もありだと思いました。一貫して物語のための物語だったんですね。
人外と人間の恋愛ものとしても面白かったです。
人と人外の関係性を強い画力で描く『トルソの僕ら』
彼氏に裏切られたハンナは、アマゾンの奥地で鳥に似た不思議な生き物と出会う。うっかりその種族の求愛行動をしてしまったハンナは、その鳥、ナプタムに惚れられてしまうのだが……。人魚、人造人間、手足のない種族など、人と人でないものの関係を描く短編集。
総合的な評価としては「人間と人外が好きな人にはおすすめ!」という感じです。「人でないもの」を描く画力が素晴らしいです。鳥人間のふわふわ感、トルソの戦士の硬質さ、花のたおやかさ、などなど。絵で魅せる方法がわかっています。
ストーリーもその美しい絵に合っていてよかったです。
恋愛ストーリーばかりというわけではないのですが、人外と人間が好きな人にはおすすめです。
食べることを厭うロボットと食人種族の女性の恋『20XX』
ある星に賞金稼ぎにやってきたロボットのジャック。そこで出会ったのは、人食い種族の少女だった。求婚されたという勘違いから、彼女はジャックの子どもをつくろうとする。しかしジャックはロボット。どうあがいても子どもはできないのだが……。
ジャックは「食べること」に対して強い罪悪感を持っており、食欲を失うことを望みます。
そんなジャックの前に現れたのが、人食い種族のルビィ。彼女にとって食べることは非常に神聖なこと。このふたりの対比が、作品の主軸です。
食べることに嫌悪感と罪悪感を持つジャックを見ているとこっちまでつらかったです。そんなジャックが、食べることで相手の生を取り込み引き受けていくルビィにあこがれというか、うらやましさというか、淡い恋のような感情を抱いていくのがよかったです。
奈良の鹿と人間が結婚する『鹿娘清美婚姻譚』
奈良に住む鹿の娘、清美はお金目当てで和菓子屋の息子、善彦とお見合いする。財政難で鹿を世話する鹿の会が困窮しているからだったが、反人間派である兄に猛反対に遭い……。果たして二人は無事に祝言を上げることができるのか。
このほのぼのブラックな雰囲気はとても好きです。
世界観や話の展開には若干のツッコミどころがある(もっと長い連載を想定していたのかもしれない)んですが、それもあまり気にならないくらいのユーモアがありました。
異類婚のきっかけがお金目当てというのがまず面白いし、縁談が進んでもひたすらマイペースな鹿たちが笑えます。反人間派の兄のグループもなんとなく間が抜けていて憎めません。
ファンタジー系ラブストーリーなのに妙に現実的で、でも鹿と結婚するので見た目はファンシーで、そのギャップを笑いながら見ていました。
人外×女子高生のアイデアが迸る本『午後五時四十六分 野干ツヅラ短編集』
こっくりさん、透明人間、信号機……。愛を覚えるのは人間だけではない。人外と女子高生の恋と交流を描く短編集。
延々と人外×女子高生の恋模様が描かれる短編集なんですが、発想力が面白いです。
蛇のおもちゃの頭をした神様だとか、目の穴に花が咲く人外だとか、アイデアを眺めているだけで楽しいです。
人外ものは、想像力の羽を伸ばして、「こういうのいいじゃん」というものを描けるのが楽しいですね。
個人的に好きなのは、「あわい、くちなわ、たけこうべ」です。竹のおもちゃの頭の神様というだけで面白すぎるし、そうなった経緯もしっかり描かれていてよかったです。
ちょっとホラー風味な展開も、怖い話好きとしては嬉しかったです。おどろおどろしいけれど怖すぎない、その塩梅が良かったです。
以上です。興味があれば読んでみてください。