あらすじ・概要
活動的になる躁状態、意欲が低下しうつうつとするうつ状態を行き来し、生活に支障をきたす双極性障害。その発見、治療、維持療法はどのようなものなのか。双極性障害の患者や家族のために、使える薬剤や心理療法を解説する。
シビアな内容もあるけど語り口が優しい
シビアな現実を示す部分も多かったけれど、著者の語り口が優しく、「双極性障害の人や家族をサポートしよう」という意思に満ち溢れているので読みやすかったです。
きれいごとは言わないけれど突き離したりはしない、いい塩梅の新書でした。
内容自体はすでに知っているものも多かったけれど、本が新しく、著者が専門医なだけあって読んだことのない情報もありました。やっぱりこういうのは定期的に情報を更新しないとだめですね。
特に遺伝と双極性障害にまつわる話は、かなり突っ込んだ内容が書かれてて興味深かったです。「なりやすさに遺伝が関係している」というのは親にとってはつらい話ではありますが、遺伝子を調べることで新しい治療法が見つかるかもしれません。今後の医学の発展に期待ですね。
薬物治療に関してはリチウムについての記述がかなり多かったです。私はリチウム飲んだことないんですよね。Ⅱ型であるのもあるかもしれませんが……。有効性が高いのに副作用が重いという薬。副作用がほどほどの新しい薬が出てきてほしいです。
評価が高いだけあって、よくまとまった本でした。双極性障害について1冊読んでみたいという人にはお勧めしやすいと思います。