ブックワームのひとりごと

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ひとりの男を追いかけた、女優の千年転生物語―『千年女優』

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あらすじ・概要

大女優藤原千代子のドキュメンタリーを作ることになった制作会社の男たち。千代子にインタビューを試みるが、彼女の話はあっちに行ったりこっちに行ったりまとまりがない。やがて現実と出演作の境界があいまいになり、千代子の半生は長い長い輪廻転生の物語になっていく。

 

結果が得られなくても自分自身を肯定できればいい

再視聴。Netflixに出ていると聞いて改めて見てみました。

 

見れば見るほど語ることが野暮な気がしてくる作品です。ここは感想ブログだから語らなければどうにもならないんですが。ときに映像は言葉よりもずっと雄弁であることを教えてくれます。私がどれだけ千代子の健気さをここで語ったとしてもこの映画の10%も説明できないですね。

 

それでもあえてどういう物語か説明するならば、結果が伴わなくても、悲恋であっても、千代子自身が今までの人生を肯定できるならそれでいいじゃないか、という話です。

この現在でも、出演した作品の中でも、千代子は惚れた男を追いかけ続け、何度も悲劇を味わいます。その繰り返しは痛ましいですが、強い思いを持てるのはうらやましくもあります。

この作品では物語と真実の境界線がどこまでもあいまいですが、それでいいのだと思えます。どれが真実で、どれが嘘かを分けることも千代子の自由なのだと思います。

 

『千年女優』を見ていると自分自身も「死ぬ間際に自分の人生を肯定できればいいな」と思えてきます。それはとても難しいことでしょうが、自分なりに走って迷って、そこまでたどり着けるといいですね。

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