ブックワームのひとりごと

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団地という場所でたくましく育っていく子どもたち―松田奈緒子『スラム団地』

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スラム団地 (コミックエッセイ)

 

あらすじ・概要

幼少期を団地で過ごした著者。そこは、訳ありの子どもたちや大人たちが暮らす場所だった。自らも借金を抱えた父親と付き合いつつ、トラブルや悩みを抱えていてもたくましく生きていく団地の人々を描くコミックエッセイ。

 

タイトルとは裏腹に前向きな作品

スラムというタイトルとは裏腹に、基本的に前向きな作品でした。タイトルが中身に即してないのではないでしょうか。このタイトルだと団地をばかにしたような作品なのかな? と思ってしまいます。そんな文脈は一切ありません。

 

確かに登場する子どもたちには訳ありの家庭が多く、著者自身も父親が連帯保証人になって借金苦に陥った過去を持っています。しかしその描き方自体はカラッとしていて、「不幸な子ども」という描き方ではありません。

むしろ、家庭環境というハンディキャップを持ちながら、何だかんだたくましく生き残っていく子どもたちでした。

一見苦労しているように見えても、そこには子どもなりの幸せや喜び、日常があって、それを否定することはないのかもしれないと思いました。

 

描かれている団地での日常は、何気ないものですが、私は実家が一軒家だったので「団地の子どもたちの交流」を読むのは新鮮でした。

秘密基地を作って遊んだり、子どものためのイベントがあったり、わいわいしていて楽しそうです。