あらすじ・概要
本好きの少女、アミルは、物語の王国(ノベルダム)ことイストリア王国に招かれる。そこで図書館の「本の虫」として働くことになったアミルは、遅刻間の上司ディレイや他の仲間たちとともに仕事に励む。図書館にはアミルの愛する本『五國物語』の完結編があるという噂を聞き、アミルは興味を持つが……。
本好きが憧れるようなもので構成された世界観
「物語機関(ノベルエンジン)」という道具がある世界で、物語に書かれた事象を呼び出すことのできる国。そこにある巨大な図書館、紙魚(しみ)と呼ばれる本を食べる虫、虫の形をした移動機械……などなど、本好きが憧れるようなもので構成された世界観は楽しかったです。
また、物語をテーマにしながらも、物語のネガティブな面にも触れていたのが印象的でした。物語を逃避の対象ではなく、自分の都合のいい事象を呼び出すためのものではなく、「現実を生きていく」ための糧にすべき、という結論には共感します。
メインとなる男女はいますが、恋愛要素はほぼなくさらっと終わったのも好印象でした。このくらいの距離感の男女は好きです。
一方で、キャラクターの描写が表面的だったり、悪役が聞いてもいないのにベラベラ真相を話したり、描写力に難があったのは残念でした。
デビュー作なので仕方ないのかもしれませんが、その辺はもう少しうまくやってほしかったです。
ツッコミどころはあるものの、世界観やテーマはとても好きなので楽しめました。