あらすじ・概要
売れない芸人の著者。そんな著者が始めたのはゴミ収集の仕事だった。日払いOK・副業OKのその仕事で生活を安定させることができた。しかしゴミ清掃員の仕事を続けるうちに、ゴミを通して社会のことを考えるようになる。ゴミ出し、回収から見えてくる、人々の生き方とは……。
ゴミ収集からわかる住民の生活
普段ゴミ収集について深く考えたことがなかったので、知らない情報が多く面白かったです。
ゴミ収集がどういう仕事をして、どういう風に街をめぐっているか具体的に描かれているので、ぐっと想像がしやすくなりました。世界が広がった気がします。
怖いのは出されたゴミで地域の治安や品の良さがわかるところです。金持ちが多い地域はゴミが少なく、治安が悪い地域はゴミ出しのマナーが悪い。そして貧乏人はゴミが多い。世知辛い内容ではありますが、自分もゴミには気を付けよう……と思ってしまいました。
著者とともに働く人々のエピソードも面白いものが多かったです。
印象的だったのががんの抗がん剤治療をせず、「死ぬまで普通の生活をしたい」とゴミ収集の仕事をしていた同僚の男性。「普通に生きる」とはなんだろう……と思わされました。
ゴミ収集の仕事は外国人労働者も多く、外国からやってきた人々との交流もほほえましかったです。
「何気ない仕事の日々」でも他人にとっては面白いものなのだな、と気付かされるエッセイでした。