ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

過去と未来に囚われるクジャクと今を生きることを決意したパンダ―『カンフー・パンダ2』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

カンフー・パンダ2 (字幕版)

 

あらすじ・概要

カンフーのマスターたちが治めていた都市ゴンメンに、前大老の息子シェンが帰還し、その新兵器によって町が乗っ取られてしまう。ポーたちは助けるために町へ向かうが、カンフーのマスターたちはシェンの武器で町を破壊されることを怖れ牢獄から出てこない。ポーたちは独自にシェンと戦おうとするが……。

 

シェン大老がMVPすぎる

今回のMVPはどう考えてもクジャクのシェン大老でしょう。優雅な翼を翻して、踊るような優雅なアクション。悪役としての貫禄、コメディシーンのおかしさ、そしてちょっと同情してしまう過去。どれをとっても一級品です。私はケモナーというわけではないですが、それでもセクシーだと感じてしまいました。

『カンフー・パンダ2』のテーマが「現在を大切にする」というものである一方、シェン大老は親に見限られた(と本人が思っている)過去に囚われ、中国全土を支配するという未来のために残酷な行動を繰り返します。成長して「今」を大切に生きようとする主人公ポートの対比が美しくも悲しかったです。

 

主人公ポー自身も、自分が養子であることを自覚し(父親がガチョウなので薄々感づいていたようですが)、アイデンティティの揺らぎを感じます。そして自分と因縁のあるシェンと出会い、自分が何者であるか悩むことになります。

しかし、過去にも未来にも自分はいない、自分は「今」ここにいるのだ、と気づいたとき、ポーの心に平安が訪れます。

過去どうだったか、とか未来がどうなるか、ではなく「今何者なのか」ということを大事にする、というメッセージは心がじんとしました。

 

悪役のシェンの良さと、シェンと扱うテーマの相性の良さに、夢中になって見れました。面白かった!