ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

最近見た漫画・本・動画・テレビ番組など10つ(20220917)

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記事を立てるほどではない感想のまとめです。

 

 

川原泉『バビロンまで何マイル?』

合理的な女子高生、月森仁希といくつもの民族の血が混じる少年、真船友理は幼なじみ。二人はか子どものころ、ノームという小人を助けたことがあった。高校生のふたりの前に現れたノームは不思議な指輪をくれた。その指輪は時空を超えることのできる指輪だった。

合理的でかわいげのない女子高生が主人公、そして彼女が時空を超える、という展開が面白かったです。

ルネッサンス期の乱世のイタリアを舞台にしたドラマも魅力的でした。シリアスな雰囲気にどこかすっとぼけたふたりがうろうろするのが笑えて来ます。

ただ、打ち切りなのか第一部完! というところで終わっています。シリーズが続いていたらもっと楽しめたでしょうね。

 

池田理代子『パラノイア・ズライカ』

KindleUnlimitedから。

一見少し繊細なだけの普通の女子高生、とみ子。しかし彼女は男性を見ると「彼は自分に恋をしている」と思い込むくせがあった。複数の女性の視点から語られる、とみ子という女性の奇妙で過激な人生。その思い込みの源泉とは……。短編二編を収録。

「パラノイア」は読んだ後嫌~な気持ちになる作品でした。後味が悪いです。口の中が苦い。

「ズライカ」の方はあまりストーリーに興味が持てなくて可もなく不可もなくという感じでしたが、コマ割りや構図は美しいと思いました。

 

大日野カルコ『意識低い系ヨガのすすめ ヨガを始めたら自分を好きになれました』

自己嫌悪やネガティブにさいなまれていた著者は、たまたま始めてみたヨガによって「フラットな自分」の心地よさを知る。ヨガを習う日々のことや、ヨガを始めて変わったこと、自分でできるちょっとしたヨガなど、意識が低い人間なりのヨガとの付き合い方を紹介する。

ヨガによって健康になったこと、前向きになったことなど内容自体は悪くなかったんですが、ヨガ教室で周りの人の体形を気にする著者に引いてしまいました。いや、友達の愚痴や雑談としてそういう話を聞くのはいいんですが、出版物として公にするのはどうかと思います。

「ヨガ教室って他人の体形気にする人いるんだ……」と思ったら行きづらくなるじゃないですか。

 

ぬまがさワタリ『ぬまがさワタリのいきものガタリ』

KindleUnlimitedから。

カピバラ、ゾウ、動物と円にまつわる話など、解説イラストレーターのぬまがさワタリ氏が単行本未収録の動物図説や、pixivFANBOXの特典画像をKDP(Kindle自主出版)にまとめた一冊。

ブログで読んだ内容も多いですが、サクッと読めてためになる内容で面白いです。あと前より背景色が薄くなったのが助かります。黒文字に濃い背景だったときは読みにくくて……。

未収録のものをまとめた雑多な本なので一冊の作品としてはまとまりがないですが、ぬまがさワタリ氏が好きならおすすめです。著者ははてなブロガーでもあるのではてなブログに興味がある人にも。

 

ねほりんぱほりん「復興活動から離れた人」

2011年の東日本大震災。さまざまな人々が復興に向けて立ち上がり、奔走していた。しかしその活動に疲れ、故郷から去る人々もいた。今回は復興活動から離れた女性ふたりにねほりんぱほりんがインタビュー。

ずっと前に録画して見るのを忘れていたプログラム。

本当に慈善活動はいつまでも続けられるものではないなと思います。登場するふたりは今でも故郷を愛してはいますが、それだけでは復興に力を注ぎ続けることはできなかった。

努力しても報われない現実と、それでも前に進んでいけるのだという希望が同時に語られた回でした。

 

吉田了『吸血鬼の食卓』

KindleUnlimitedから。

人間の上流階級に紛れて暮らしている吸血鬼たち。彼らは「餌」と呼ばれる人間を従えるのがステイタスである。餌となった人間たちと、不死の吸血鬼たちとの交流を描いた連作短編。

絵がきれいだしまとまってはいるとは思いますが、もう一声ほしかった内容でした。寿命差ものはありがちなだけに何か飛びぬけたものがほしいと思ってしまいます。

不死なのに人間社会に紛れ込める理由や、ステイタスとしての餌のよさもいまいちよくわからなかったのもマイナスでした。

 

夜職とメンタル疾患について、原因から治療法まで具体的に解説します【精神科医が一般の方向けに病気や治療を解説するCh】

夜職、いわゆる水商売やセックスワーカーの人たち。彼女らはメンタル疾患を抱えている場合も多くみられる。早稲田でメンタルクリニックを営む医者から見た彼女らの事情を語る。

「(世間的にはいいと思われない仕事でも)努力して社会に適応しようとした結果」というのが心に来ますね。福祉的援助に恵まれなかった、それでも頑張って夜の仕事をしたということは評価されてもいいと思います。

ただいつまでも続けられる仕事ではないので、出口戦略は必要なのでしょう。


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吉野あすも・武濤洋『「ただの空気」が吸えなくなりました。~化学物質過敏症で無職になった話~』

ある日突然たばこの残り香や香水、柔軟剤のにおいでせきが出るようになった主人公。症状は徐々に悪化し、頭痛や気持ち悪さも伴うように。どうやら化学物質のにおいに反応して体調不良が起こっているようで……。

化学物質過敏症ではないものの、嗅覚過敏なので何か参考になるかと思って読んでみたのですが、情報以前に漫画としてあまり面白くなかったですね。

安易な無添加賛美、無農薬賛美も気になりますし。

ただ世の中なんでもいいにおいがすればいいと思ってる、というのには全力で同意します。少しはにおいについて敏感になってほしい。

 

下駄華緒・蓮古田二郎『最期の火を灯す者 火葬場で働く僕の日常』

KindleUnlimitedから。

火葬場職員として就職した青年、下駄華緒。グロデスクな洗礼を受けながらも、日々火葬場で奮闘していく。炉の熱気で熱い中、きちんと遺体を燃やし遺骨を取り出していくだけの作業だが、ときには事件が起こることもあり……。

内容自体は面白いですが、描写が俗っぽいのでいろいろな意味で一歩引いて見てしまいました。盛ってない? わざと残酷に描いてない? という。

創作要素(多分)であろう職員同士の恋愛模様もいらなかったですね。

ただ火葬のために行われる過程や、火葬場の炉のしくみなどは興味深かったです。

 

マサト真希『まいごなぼくらの旅ごはん』

失職中の楓太は、死んだ父親の残した食堂「風来軒」で食いしん坊の女子ひよりと出会う。風来軒が常連たちの生活を支えていたことを知った楓太は、この食堂を再興したいと強く願う。強い味覚と驚異的な胃袋を持つひよりを相棒に、店のメニューを考えるための旅に出る。

岩手・北海道のローカルネタがバンバン出てきて、ローカルネタ大好きな身としては楽しかったです。ひよりの豪快な食べっぷりもよかったです。

ただ、ご都合主義な展開が多かったのはマイナスです。特に出会ったばかりの男女がいきなり経営者として相棒になったり、ホテルの同室に泊まったりするのはあまりにもお互い警戒心がなさすぎるかと。年頃の男女としてリアリティがなさすぎましたね。