あらすじ・概要
曾祖父の死後、ソフィアは妖精を見る力を得た。しかもソフィアの作るお菓子には、妖精を魅了する力があった。その力に目を付けた伯爵家の令息、ルーカスは、屋敷にソフィアを呼び出し、彼女にお菓子を作らせようとする。その手段としてソフィアと結婚すると言い出して……?
マイナス印象のスタートを上手く描いている
女性向けには珍しいおねショタ(ショタおね?)でかわいかったです。
読んでいてルーカスへの印象が、「何だこの悪ガキ」→「ちょっとかわいいかも」→「かわいいなこいつ……」と変化していくのが楽しかったです。マイナス印象からのスタートをうまく書きこなしています。
腹黒で二枚舌でわがままなルーカスが、自分に親切にしてくれるソフィアに徐々に心を開き、彼女を思うようになる過程が好きでした。
ソフィアの方も、最初はルーカスに反発していたものの、ルーカスの抱える複雑な事情を知るうちに、彼を放っておけなくなります。「嫌なやつだけど助けたい」と思える描写が自然で、嫌なところがなかったです。
作中のお菓子の描写もおいしそうで、まったり読むのにはちょうどいい塩梅でした。
一方で、事件を解決する手段が「権力を頼る」というものだったのにはずっこけるかと思いました。こういう安易な解決をするくらいなら、作中で事件そのものを起こさなくてもよかったのではないかと思います。
ソフィアとルーカスが仲良くなっていく描写だけでも面白かったのに惜しいです。
応援したいほほえましいカップルだっただけに、問題解決の方法が雑だったのが悲しかったです。