あらすじ・概要
美しい女性の不思議な夢を見たあとに、戦国時代へタイムスリップしたしんのすけ。たどり着いた春日の城には、夢で見たお姫様と不器用な武士がいた。しんのすけを追って野原一家もタイムスリップするが、うまく帰ることができない。やがて、春日の城に戦乱がやってくる。
「エモい」けれど上品な内容
戦国時代の男女の悲恋を描いた、言ってしまえば「エモい」話なのですが、とても上品な内容で面白かったです。
野原一家がタイムスリップすることで歴史が少しだけ変わり、又兵衛の寿命は少しだけ長くなりました。その長くなった寿命で何ができたか、愛する女性に何をしてあげられたのか、と考えると心がぎゅっとなります。
ラストも案外あっさりしていますが、それゆえに余韻に浸ってしまいます。
描写自体も細かいです。戦を前にしてひろしとみさえが又兵衛との今生の別れだと思ってボロボロ泣いているのにしんのすけがよくわかってなくてぽかんとしているのとか、全滅覚悟の戦の前にジョークを飛ばして努めていつも通りに振る舞おうとする行為だとか、何気ないシーンにいろいろな情報が込められています。
そのような細かい描写が、泣けるけれど、押しつけがましくない映画を形作っているのだと思います。
昔のアニメなのもあってぬるぬる動くというわけではありませんし、静止画のシーンも結構あるのですが、それが気にならないくらい物語に引き込まれました。