あらすじ・概要
子どものころ、母親の宗教に付き合わされていた著者。頻繁に行われる集会や、布教活動で自由な時間が少なく、また、友達付き合いや男女交際も強く制限される。普通の生活が送れない辛さに、徐々に宗教に対して信頼を失っていった著者は、棄教することを望むようになる。
宗教にさえ出会わなければ普通の生活が送れたかもしれない
作中では明言されていませんが、どうやらこの宗教と言うのがエホバの証人のようです。
描かれている内容のグロデスクさとは裏腹に、作風は淡々としています。しかし淡々とした作風だから内容を客観的に見られるところもあります。
友達付き合いが厳しく制限され、誕生日祝いやクリスマスも行うことができない。クラスで浮きがちになり、積極的に人と関われなくなった著者のことを思うと心がつらくなりました。
潔癖すぎる教義ゆえに、性的なことや男女交際も厳しく制限され、思春期になった著者が教義と自分の感情の間で葛藤する姿は悲しかったです。
ラストはたまたま著者の母親が、宗教から離れていく娘を引き留めなかったためするりと棄教できました。その点はよかったのですが、方法はおかしいなりに母は娘を愛していたのだなと思うとやりきれないですね。
母親が宗教と出会わなければ、著者はつらい子ども時代を過ごす必要はなかったのでしょう。宗教が人の倫理観を狂わせる怖さを感じました。
エホバの証人二世の話だと『カルト宗教信じてました』もブログで紹介したことがありますが、こちらはこちらで違った味わいがありました。