ブックワームのひとりごと

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大嫌いだった母親に似ていることを受け入れることで自分を俯瞰的に見られるようになる―上村秀子『親ガチャにハズれたけど普通に生きてます』

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親ガチャにハズれたけど普通に生きてます (LScomic)

 

あらすじ・概要

子どものころ、親が離婚し、実母と義父と暮らすことになった著者。しかし離婚をきっかけに母は子どもにつらく当たるようになる。大人になってそんな母親から離れたくなり、実家を出て自立するも、しばらくして母親が自殺してしまう。ショックを受けた著者は……。

 

自分を振り返り、受け入れるためのコミックエッセイ

精神的虐待と、子どもの給料を使いこむという経済的な虐待が主で、毒親の描写自体は結構あっさりしています。

 

しかしこの作品の本題は、「自分をきちんと愛してくれなかった上に自殺した」母親と自分が似ている、ということを受容する過程にあります。

家庭環境で傷ついた著者は、仕事やプライベートで完璧を目指し続け、無理がたたって精神的に参ってしまいます。ついには母と同じように自殺を企てようとします。

しかしそんな状況でも心配してくれた友人に支えられ、少しずつ自分らしさを取り戻していきます。

「完璧でありたい」と自分の弱さを隠すところが母親に似ている、ということを受け入れ、そんな自分を許容することができました。

 

ラストでは、著者は親を許せない自分も、そんな親に似た弱さを持つ自分も、突き放して見られるようになります。劇的に変わったわけではないけれど、自分を俯瞰的に見ることによって生きるのが楽になります。

自分の弱さにも、他人の弱さにも寛容になった著者が印象的でした。

 

真弓

真弓

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