あらすじ・概要
子どものころ、親が離婚し、実母と義父と暮らすことになった著者。しかし離婚をきっかけに母は子どもにつらく当たるようになる。大人になってそんな母親から離れたくなり、実家を出て自立するも、しばらくして母親が自殺してしまう。ショックを受けた著者は……。
自分を振り返り、受け入れるためのコミックエッセイ
精神的虐待と、子どもの給料を使いこむという経済的な虐待が主で、毒親の描写自体は結構あっさりしています。
しかしこの作品の本題は、「自分をきちんと愛してくれなかった上に自殺した」母親と自分が似ている、ということを受容する過程にあります。
家庭環境で傷ついた著者は、仕事やプライベートで完璧を目指し続け、無理がたたって精神的に参ってしまいます。ついには母と同じように自殺を企てようとします。
しかしそんな状況でも心配してくれた友人に支えられ、少しずつ自分らしさを取り戻していきます。
「完璧でありたい」と自分の弱さを隠すところが母親に似ている、ということを受け入れ、そんな自分を許容することができました。
ラストでは、著者は親を許せない自分も、そんな親に似た弱さを持つ自分も、突き放して見られるようになります。劇的に変わったわけではないけれど、自分を俯瞰的に見ることによって生きるのが楽になります。
自分の弱さにも、他人の弱さにも寛容になった著者が印象的でした。