ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

海を漂うプラスチックが引き起こす問題と、これからできる対策―枝廣淳子『プラスチック汚染とは何か』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

プラスチック汚染とは何か (岩波ブックレット)

 

あらすじ・概要

細かく砕けたマイクロプラスチックが海を漂い、動物の体内に入って悪影響を与える……。しかし、海を漂うプラスチックの脅威はそれだけではなかった。プラスチックの成り立ちから、プラスチックが引き起こす諸問題、それを受けた各国の対策などを書いたブックレット。

 

被害に遭うのは動物だけじゃない

岩波ブックレットって何……? と思っていたけれど、読んだ感じテーマと字数を絞った新書みたいなものでした。空き時間に読むにはちょうどいい長さです。

改めてプラスチック汚染についてまとまった文章を読んでみて、どれだけ「なんとなくてプラスチック汚染を語っている」Twitterユーザーのいいかげんさを感じてしまいました。まあ自分もこの本を読むまでそうだったのでブーメランではありますが。

 

プラスチック汚染というとマイクロプラスチックが魚や海の生き物の中に入り悪影響を与える可能性が、ということばかり語られがちです。しかし化学繊維の網や釣り具が海をさまよい船のスクリューに絡まって破損させたり、観光地のビーチで大量にプラスチックごみが流れ込んで億単位の損害が出たり、「いつかの未来」ではなく「たった今」被害が出ていることは知らなかったです。

というか動物の尊厳に興味がない人はいっぱいいるんだから、ちゃんと「人間への被害」も説明すればいいのに。意見を通すには相手によってテーマを変えるのって大事ですよね……。

 

あとプラスチックを使うのをやめたくない人はやたらとバイオマスプラスチックを持ち上げようとするんですが、バイオマスはバイオマスで欠点があるそうです。他のプラスチックごみと混ざるとリサイクルに手間がかかったり、土の中で分解できても水の中では分解されないから海洋汚染には役に立たなかったり、紙製品と同じで大量生産しようとすると材料になった生物が減ってしまう可能性があったり……。何事も一長一短です。

 

プラスチックによる海洋汚染を防ぐと同時に、地球温暖化や森林の減少などにも対処しなければならず、バランスを取るのは非常に難しいです。

しかしそれについて考えても専門家じゃないからわからーんとなってしまうし、できることがゴミの分別と無駄なものを買うのをやめるくらいしかないですね。