ブックワームのひとりごと

読書中心に好きなものの話をするブログです。内容の転載はお断りします。

ヒロインが正義のシスターになって悪を滅する―喜多みどり『シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ』

このブログには広告・アフィリエイトのリンクが含まれます。

シスター・ブラックシープ 悪魔とロザリオ (角川ビーンズ文庫)

 

あらすじ・概要

赤ん坊のころから将来悪魔の花嫁となることを運命づけられたコンスタンティン(コンスタンス)は、男として育てられ教会の助祭として暮らしていた。しかしやはり悪魔は現れ、結婚指輪をつけられてしまう。その指輪を外すには、善行を積むしかないようで……。

 

ヒロインが個性的なのと悪魔が怖いのがいい

序盤からいきなりヒロインがかわいい猫(中身は悪魔だが)を水に沈めて溺れ死にさせようとしており、なかなか過激でいいなと思いました。今の「猫がかわいそうな目に遭う作品が苦手」という風潮の真逆を行っていてある意味潔いです。

ヒロインが男装の僕っ娘、さらに悪魔の花嫁になることを運命づけられていたため、「それまでは好きに生きよう」と思っておりかなり素行が悪いという尖った設定です。こんな少女小説ヒロインは初めて見た。

イロモノ感はあるものの、ヒロインが何に対しても積極的でおかげで話がどんどん進むところは爽快でした。

 

コンスタンティンの押しかけ夫である悪魔も、ただ一方的に惚れてくるというより、「倫理のなさ」の結果として言い寄ってくるところがよかったです。倫理のない人外大好き。

悪魔なので、コンスタンティンは死なない方がいいとは思っていますが、それはそれとして「黒い羊」としての慈善活動を成功させようとは思っていないし、悪いことが起こっていてもまあいいかと感じている。そのコンスタンティンとの温度差が怖くてよかったです。

 

反面、事件の顛末はちょっとごちゃごちゃしてわかりにくかったので、読みづらかったです。この辺は今後に期待かな。