ブックワームのひとりごと

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ケルト時代から多文化移民社会までイギリス史をダイジェストで知る―近藤和彦『イギリス史10講』

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イギリス史10講 (岩波新書)

 

あらすじ・概要

ユーラシア大陸の西の果て、島国として存在するイギリス。ブリテン島で暮らしていたケルト人の時代から、ノルマンコンクエストの時代、イングランド・スコットランドの確執、そして産業革命……。と、イギリスの歴史を10に分けダイジェストでお送りする新書。

 

クールで淡々としたところは読みやすかった

文体自体は堅く、読みづらかったけれど内容は面白かったです。

いわゆる人がいっぱい死んだ野蛮な時代でも、その良しあしは脇に置き、淡々と述べてくれるところが安心できました。最近あまりグロかったり過激だったりする話題は苦手になってしまったので、クールに書いてくれて助かりました。

著者自身の意見もがっつり書かれているのは終盤の方だけなので、「意見はどうあれイギリス史を知りたい」という人には読みやすいと思います。

今「こういう歴史観が普通」とされていることにも、現代の研究ではこういう風にとらえ直されているという情報も面白かったです。こういうのは新しい本を読んでおかないと入ってこない価値観ですよね。

 

あと著者が映画好きなのか、「この時代のこの要素はこの映画に描かれている」というコメントがところどころにあったのも面白かったです。映画が好きな人はうれしいと思います。マイナーなのか、配信を検索しても出てこないものが多いですが……。

 

この本の文章は硬すぎる、と言う人は岩波ジュニア新書の『王様でたどるイギリス史』のほうがおすすめです。

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