ブックワームのひとりごと

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JKと真面目書記が恋して起こる、終わらない青春の終わり―時田『JKども、荒野をゆけ』

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JKども、荒野をゆけ(1) (ヤングキングコミックス)

 

あらすじ・概要

生徒会に逆らった書記の少年は、学園艦から死刑星に落とされる。しかしそこは男子向けの死刑星ではなく女子向けの死刑星であり、いたのは不思議な言葉を話すJKたちだった。少年は、戸惑いながらもJKたちと荒れ果てた荒野で一緒にサバイバルをすることになる。

 

「変わらないでいたい」から飛び出すセカイ系青春SF

最初はサバイバル要素で味付けしたベタなハーレム展開なのかと思ってはずれ引いたかな……と思ったんですが、後半作品の世界観がどんどん明らかになるにつれてぐっと面白くなってきました。

JKたちの描写がテンプレ的では? とか、なぜJKたちがアホの子なのか? ということもちゃんと伏線として回収されたのでびっくりしました。1話では想像つかない着地をしてくるので、思い切って全部読んでしまうことをおすすめします。2巻しかないですしね。

 

最初はJKに振り回されるだけだった「書記くん」は、JKたちと一緒にサバイバルするうちに彼女らの強さや優しさにに好感を持っていきます。そしてJKのひとり、えるもに(無自覚ながら)恋をしていくことになります。

ラストで書記くんとえるもがお互いの恋心を自覚し、思いを伝え合うシーンはロマンチックで最高でした。

そして恋愛の成就とともに、「変わらないでいたい」という呪いから解かれ、新しい人生を歩み出そうとするふたりは素敵でした。

 

終盤にかけて話が抽象的になりセカイ系の様相を呈してきますが、基本は思春期の若者たちが大人になり、将来を考えていく話で、青春ものだと思います。