記事を立てるほどではない作品の感想まとめです。
- 海空るり『うつ時々、躁:私自身を取り戻す』
- りえぞう『キルギスに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』
- 幌山あき『マーブルビターチョコレート』
- 『君の名は』
- 青沼貴子『ママは習い事がお好き』
- 近藤ようこ『死者の書』
- 杉谷庄吾『映画大好きホンポさん』
- 藤木和子『「障害」ある人の「きょうだい」としての私』
- メノタ『奥さまはドードー鳥』
- シマ・シンヤ『Gutsy Gritty Girl』
海空るり『うつ時々、躁:私自身を取り戻す』
30代で双極性障害を発症した著者、ハイテンションな「躁」と気力が出ない「うつ」の波に翻弄されながら、家事やふたりの子育てに苦労する。発病の経緯から、安定した生活を送れるようになった過程を語る。
著者からのアドバイスは、だいたいすでに自分でも実践したものなのでぱらぱら読み飛ばしました。情報量は多くないので息抜きに読むくらいならいいかなという本です。双極性障害になったばかりの人なら参考になるかもしれません。
文章がうまく、クールで淡々とした語り口には安心感がありました。
りえぞう『キルギスに行ってみた 旅行記コミックエッセイ』
KindleUnlimitedから。
二週間前まで旅行先が決まらず、たまたま行ってみたキルギス。そこは山や草原、湖など雄大な自然が横たわる美しい国だった。キルギスでの遊牧民テントでの生活や乗馬体験など、自然と触れ合う旅を描いたコミックエッセイ。
とにかく自然のスケールが大きいです。こんな国に住んでいたら信心深くもなりそうです。人間をちっぽけに感じますよね……。
トレッキングに苦労したり、遊牧民のテントの見分けがつかなくて迷子になったり。笑えるエピソードがあったのも楽しかったです。
宿の女の子に自分の年齢を行ったらびっくりされたというくだりが面白かったです。そりゃ早婚の国にいたらひとりでこんなところまで旅行するいい年の外国人の女なんてびっくりですよね。文化の差を感じる。
幌山あき『マーブルビターチョコレート』
パパ活をする女性と、彼女に接触しルポルタージュを書こうとする小説家。交流を重ねる中で、ふたりは少しずつ惹かれあっていく。だがそれぞれの過去には、深い事情があった。
途中まで面白く読んでいたのにラストの展開がひどかったです。たちの悪いミューズものですね。
異性同士だと、「かわいそうなあの子が自分のために○○してくれたおかげで小説が書けるようになりました!」って展開すごく気持ち悪いと思うんですけどなぜ百合だとそうならないと思ったんですか!?
あとネタバレになりますが、ドラマチックな別れをしておいておまけページで再会をさせてしまっているのにも萎えます。あの劇的なコマは何だったんですか。読者が「いつか再会してくれるかも」と期待するのはいいけど作者がそれを描いたら興ざめです。
『君の名は』
高校生の滝と三葉は、あるときから夢の中でお互いの身体が入れ替わっていることに気づく。お互いに迷惑をかけないようにルールを決めるふたりだったが、突然入れ替わりが終わってしまう。三葉を探しに行った滝は、そこで衝撃の事実を知る。
流行ってた作品だから見てみたんですけど、正直あまりぴんとこなかったです。何より主人公カップルがかわいいと思えなくて……。
キャラもシナリオもテンプレ的で深みがなく、面白く感じるときがないまま終わってしまいました。
映像はきれいでしたけどね。
青沼貴子『ママは習い事がお好き』
コミックエッセイ作家、青沼貴子がいろいろな習い事に挑戦。ハンモックを使ったヨガや寿司教室、絵手紙、陶芸など、その魅力をレポートする。習い事に関する家族の日常も交える。
さらっと読んだけどあまり印象に残らない本でしたね。こういう何気ない話をさらっと読ませるのも著者の実力ではありますが。(下手だとさらっと読むこともできないので……)
表紙デザインがかわいい。
近藤ようこ『死者の書』
八世紀半ば、平城京の時代。いずれ氏神に仕える身として育てられた郎女は、ある日館から飛び出して女人禁制の万法蔵院にたどり着いてしまう。禁を犯した罪を償うため、郎女は寺の庵で過ごすことになるのだが……。
すごい漫画だということはわかるけど話が壮大過ぎてよくわかりませんでした。自分の教養のなさを感じる……。
ただ、頭がいいのに女と言うだけで家に閉じ込められてしまうもどかしさとか、尊いものに焦がれる感情とかはなんとなくわかる気がします。
杉谷庄吾『映画大好きホンポさん』
映画制作会社で働く主人公は、上司のホンポさんに振り回されながらも日々努力している。そんな中、ホンポさんが新作の脚本を作り、その映画を主人公が撮影することとなる。
「気持ち悪い映画オタクが才能のある人にちやほやされて成功する」話です。ろ、露骨!!
いやまあオタク向けのコンテンツなんてそんなものだろうというのはそうなんですけど、ここまで露骨だと引いてしまいます。
別にオタクの願望を叶えたありがちコメディだと思って出すのはいいんですけど、これを「創作賛歌」として出すのには違和感があります
藤木和子『「障害」ある人の「きょうだい」としての私』
障害を持つ子のきょうだいとして生まれた「きょうだい児」たち。ヤングケアラーとしての問題や、結婚の問題、親亡き後の問題を抱えている。当事者である著者が、きょうだいの抱える問題や課題について書く本。
著者の言い分が間違っているというわけではないんですが、構成や展開が読みづらいと思う部分が多かったです。著者が当事者として発信したいのか、一般論としてきょうだいたちの話がしたいのかよくわかりませんでした。もう少し話をまとめて書いてほしいです。
それはそれとして、「きょうだいは障害のある兄弟に対してすべて責任を負う必要はない」というのはそれはそうです。
メノタ『奥さまはドードー鳥』
人と鳥が結婚可能なファンタジー世界で、絶滅した鳥ドードーと暮らす男性の日常生活を描く。
絵柄はかわいいけどまったく刺さらなかったです。まあ『果ての星通信』のお礼課金として買ったから投げ銭だと思ってよしとします。
シマ・シンヤ『Gutsy Gritty Girl』
SF中心の短編集。
これもいまいち刺さりませんでした。行間を読ませたがる作品なのはわかりますが、「苦労して行間を読みたい!」と思えるほど好きにはなれなかったです。