ブックワームのひとりごと

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双極性障害の夫を支えるうちに妻がうつになってしまった―彩原ゆず『夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から』

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夫婦で心を病みました 優しい夫が双極性障害を発症したあの日から (コミックエッセイ)

 

あらすじ・概要

仕事のストレスでうつになってしまった夫、休息を経て少しずつよくなっていくが、しばらくして夫に異変が訪れる。浪費をし、常にいらだちものに当たるようになり、ついに著者にも手を上げるようになった。追い詰められた著者は、自分も自殺を考えるようになり、抗うつ剤を飲むようになった。

 

双極性障害の夫を支えるため妻がうつになってしまう

典型的な双極性障害の診断が遅れたパターンで、メンタルクリニックへの通院で著者が夫に付き添い医師に説明したことで処方が変わります。

双極性障害でうつの誤診を受けることはあるあるなんですよね。

 

夫は躁状態の影響で精神的、肉体的DVをしてしまい、躁が終わった後にそれに関して深く後悔します。

双極性障害の治療を受けることによって、落ち着きを取り戻した夫ですが、著者自身は夫の好意を許すことはできないと独白します。

ここは素直に「許せない」と言ってくれて逆にすっきりしました。夫を支えるいい妻の姿を見せ続けられてもつらかったと思うからです。

私も双極性障害当事者で躁状態でやらかしたことはあるので、著者の夫の気持はよくわかります。でも許すかどうかは周りの人次第なんですよね。

 

「理解のある夫」「理解のある妻」の表象を揶揄するのは勝手ですが、本人の話を聞いてみるとそこにはそれぞれの悩みや葛藤があることがわかります。こうして作品にすることで、救われることも多いと思います。