あらすじ・概要
フェイクニュースが話題になる昨今、ニュースや政治家の発言の真偽をチェックする「ファクトチェック」が注目されている。人々が正しい情報にアクセスするには、過去の発言や出典をチェックするファクトチェッカーの存在が必要である。海外の事例も紹介し、日本のこれからのファクトチェックについて語る本。
ファクトチェックをする痛みと難しさ
ファクトチェックの難しい点は、自分の政治思想とは関係なく、「正しさ」を判定しなくてはならないことです。ときには自分の嫌いな人間が、本当のことを言っていると認めなければならないときもあります。
ファクトチェックと自分の意見を言うことは、全く異なること。ときには自分の意見を否定してでも真実を探さなければならないということに重みを感じました。
後半には海外のファクトチェック事情が書かれています。アフリカや中南米など、政情が不安定な国でもファクトチェックの組織がつくられているのには驚きました。でもよく考えれば、政情が不安定だからこそ必要な面はあるのかもしれません。
また、ファクトチェックをする組織がどう資金を調達するかも課題だと思いました。特定の団体から多くの金銭を得てしまうと、中立性が失われますからね。かといって税金を使うと、政権に不利益があるファクトチェックがしにくくなるでしょうし……。
有名で大学で教えているような学者が、あやしげなニュースをシェアしていて引いたことがあります。しかしそれほど頭が良くても、自分の意見に都合のいいニュースをシェアしたいという欲求は強いものなのでしょう。
ときには自分の価値観を否定することになっても、真実を知ることは価値がある。そう思わないとファクトチェックの思想も受け入れられないのだろうと感じました。