あらすじ・概要
長男として授かった赤ちゃんはダウン症児だった……。行政や福祉の力を借りつつ、発達がゆっくりの子どもを家族で見守る。ダウン症の子育ての理不尽なところ、うまくいかないところを描きながらも、コメディタッチで進行するコミックエッセイ。
この明るさに救われる人もいるのでは
そこらじゅうに笑いがあふれる。コメディタッチの作風ですが、ところどころに障害児を育てる苦労が感じられます。
著者はダウン症の息子を授かってから、行政に「どうすればいいのか」と聞きに行ったり、万が一虐待をしてしまったときのために予め児童相談所に連絡したり、とにかく公的機関を利用することに関してフットワークが軽いです。
そういう母親だから、障害児を育てるという難関に出会ってもコメディ風に自分のことを語れるのかもしれない、と思いました。
発達がゆっくりの息子を、面倒な部分があることを認めつつ、家族全員で見守る姿勢なのがいいですね。きれいごとにも露悪にも寄りすぎず、ほどほどのバランスを保って読めました。
なかなか離乳食を食べてくれなかったことも、コミュニケーションを取るのが苦手なことも、明るい笑い話として絵が帰れているのであまり深刻にならずに済みます。
もちろん実際にはいろいろな葛藤があったと思いますが、この明るさに救われる親世代はいるのではないでしょうか。