あらすじ・概要
少子高齢化によって、介護需要は高まる一方なのに、介護の仕事をする若者は増えない。労働条件の悪さや、介護施設内での暴力、介護施設でのパワハラ・セクハラ、外国人介護職への支援の乏しさなど、現状の問題を語る。介護から見えてくる、高齢化社会の困難さとは……。
介護について気が滅入る内容
介護職の友人から愚痴をいろいろ聞いているゆえに、知っている問題も多かったですが、改めて本にまとめると気が滅入る内容が多いです。
慢性的な人手不足ゆえに、雇う人間を選ぶことができずに虐待や不適切な対応が横行し、また、パワハラ・セクハラが発生しても介護職の人間を保護する土壌がないなど、暗い内容が続きます。
また、外国人を受け入れて介護職をやってもらうにも、日本では外国人労働者の定着支援が十分ではなく、海外に出稼ぎに出る外国人にとって魅力的な職場ではないことがわかります。
外国人が働きやすい社会にすること、そして外国人の人権侵害についてきちんと対応しなければ外国人は職場として日本を選ばないでしょう。
読んでいてぞっとしたのは、「税金や介護保険を払っているのだから介護職にいろいろやってもらって当然だ」と権利意識が強い人は、逆に介護施設から介護を断られるようになる、という予言でした。
介護需要が高まれば高まるほど、施設の側が支援する高齢者を選ぶことができるようになるからです。
介護士に介護以上のものを求める行為は、どんどん難しくなっていくかもしれません。