ブックワームのひとりごと

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【子どもの成長を見守る】子育てをテーマにしたコミックエッセイおすすめ27選

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ChatGTPに提案されたまとめ記事を書いてみようシリーズ、今回は子育てをテーマにしたコミックエッセイおすすめまとめです。

私が福祉や障害のある子どもの生活に興味があるので、そういうコミックエッセイが多くなっています。

 

 

 

職場復帰後奔走する女性と、働く母親への差別『いけいけどんどん!ワーママ奮闘記』

育児休暇の後、会社に復帰することになった著者、子どもと長く過ごせなくなることを悲しく思いながらも、好きなデザインの仕事を必死で頑張る。ときに夫といさかいながらも、何とか仕事を続ける一方、職場からは収入の当てにしていた手当をなくされてしまい……。

育児休暇から復帰し、ときに夫ともめたり、子どもと長く過ごせないことにネガティブになったりしつつも、何とか「ワーママ」として滑り出したように見えました。

しかし会社が著者に今まで出していたみなし残業手当を全額カットしてしまい、著者は収入が下がってしまいます。

なくなってしまった手当を取り戻そうと、同僚や直属の上司の協力を得て会社の上層部に訴えますが、うまくいきません。

実際のところ出産を理由に待遇を下げることは違法ですし、著者は社長からマタハラ的な言葉を投げかけられます。

いくらインターネットで働く母親への理解を求めても、耳を貸さない人は貸さないのだなあと悲しくなりました。

著者の周囲の人たちが理不尽な待遇に憤ってくれたのが救いです。

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小六にして中学受験をしたいと言い出した息子を応援する夫婦―細川貂々『なぜか突然、中学受験』

漫画家・イラストレーターの細川貂々と専業主夫のツレの間に生まれた息子、ちーと君。小学6年生になった彼は突然中学受験をしたいと言い出す。戸惑いながらも、夫妻は息子の受験勉強を応援するために奔走する。

まず親がいい学校に行かせたいからではなく、子どもが「中学受験をしたい」と言い出したところから始まります。当時は小学6年生の一学期が終わったころ、細川貂々夫妻は中学受験について全く準備をしておらず、息子のその発言に焦ります。

しかし「本人がやりたいと言うならばできるかぎりの協力をしよう」と家族3人で中学受験に取り組みます。

模擬テストやプレテストの点数に一喜一憂したり、すねて勉強をしなくなる息子にいらだったり、「受験勉強を応援する」と言っても楽しいことばかりではありません。

さらに受験塾に行かなかったため、ちーと君の勉強は夫のツレさんが見ていました。

しかし息子、ちーと君が全く勉強の習慣がなかったところから、机に向かい勉強ができるようになり、何度も勉強を投げ出しそうになりながらもまた受験勉強をする姿には励まされました。

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ダウン症の子育てを明るいコメディタッチで描く『ユンタのゆっくり成長期 ダウン症児を育てています』

長男として授かった赤ちゃんはダウン症児だった……。行政や福祉の力を借りつつ、発達がゆっくりの子どもを家族で見守る。ダウン症の子育ての理不尽なところ、うまくいかないところを描きながらも、コメディタッチで進行するコミックエッセイ。

そこらじゅうに笑いがあふれる作風ですが、ところどころに障害児を育てる苦労が感じられます。

著者はダウン症の息子を授かってから、行政に「どうすればいいのか」と聞きに行ったり、万が一虐待をしてしまったときのために予め児童相談所に連絡したり、とにかく公的機関を利用することに関してフットワークが軽いです。

発達がゆっくりの息子を、面倒な部分があることを認めつつ、家族全員で見守る姿勢なのがいいですね。きれいごとにも露悪にも寄りすぎず、ほどほどのバランスを保って読めました。

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親のもやもやがわかっていたたまれなくなってきた『ママぽよ アンとリュウ 就職できるかな?』

短大も終わりに近づき就職活動を始めたアン。しかしそれはうまくいかず、やっと就職した会社でもすぐやめてしまう。一方父親の仕事を手伝っていたリュウも、父とけんかをしたことをきっかけに別の仕事を探す。子どもたちの就活を描いたコミックエッセイ。

ストーリーとしては就活をする我が子を見守るだけなので劇的な事件はありません。ただ子どもの将来を案じてもやもやする母親が描かれます。

私自身も親に迷惑をかけてきたので、何だかいたたまれなくなってきました。就活をする子どもを見守る親というのはこんな感覚なんですね。

しかしわがままだったりずぼらだったり、思い通りにならない子どもたちを見る視線はどこか優しいです。だからこそ笑って読むことができるのでしょうね。

子どもが大人になると、親にできることは少なくなってしまって、はっぱをかけたり励ましたり、そしてあとは見守るしかない。私には子どもがいないけれど、思春期を超えた子どもたちへの接し方を、垣間見た気がします。

 

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だめだけど自分に酔ってはいない『打ち切り漫画家(28歳)パパになる』

漫画を連載中の著者は、妻に「子どもがほしい」と持ちかけられる。連載はあえなく打ち切り、そして妻は妊娠する。妻子を養うために著者は大工仕事を始めるが、あまり向いていない仕事のようで……。男性の視点から「子どもを育てること」を描いたコミックエッセイ。

著者は結構情けない人で、せっかくついた仕事を辞めてしまったり、だめになりそうな連載を断れなかったりします。

ただ、自分のだめさに関して酔った感じがしませんでした。少し離れたところから、冷静な視点で見ています。

最後まで読んでも、金銭的に安定はしていない生活で、余計なお世話ながら心配になります。

けれど、この、「自分のことを冷静に見る力」をずっと持つことができれば、人生何とかなる気がします。

 

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「知的ボーダー」を育てる苦労と希望『はざまのコドモ 息子は知的ボーダーで発達障害児』

幼いころからおかしな行動があった息子。彼は検査によって発達障害だと判明する。そして、知能が平均より低い知的ボーダーだということも。しかし、療育手帳が取れないため、福祉サービスが受けられない。助ける人のいない親子の放浪が始まった……。

障害だということがわからない段階では、憔悴していく親の姿はつらかったです。

おそらく多くの親たちが、虐待と紙一重のところを歩いているのだと思いました。虐待しなかったのは、たまたま周りに恵まれていたとか、育てやすい子だったとか、そういう理由なんじゃないでしょうか。

ある意味、この作品の絵柄がゆるい感じでよかったかもしれません。もっとがっちりした絵柄だったらもっと苦しかったような気がします。

支援が受けられるようになってからはできることも増え、ほっとしました。

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育児の苦労をコミカルな笑いに昇華『息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました。』

漫画家の息子ゆうたは、母親が大好きなあまり父親を敵視し、意地悪な態度で接している。父である著者はそんなゆうたに手を焼いている……。子どもの理不尽さを、父親視点から語っていくコミックエッセイ。

エッセイ漫画というよりギャグ漫画かな? と思うくらい笑えます。オチまでテンポがいいですし、息子の生き生きとした表情で余計に笑えます。

実際にはもっと苦労しているんでしょうが、苦労をコミカルな笑いに昇華しているところが面白いですね。

家で子どもを育てながら、仕事もする生活ってきつそうですね……。子どもが邪魔してくるので。

子どもの暴風のような理不尽さを、自分が語り手になって解説していく著者には同情します。無理のない程度にがんばってほしいと思えてきますね。

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思春期の息子の観察日記『かわいいころを過ぎたら』

ママが大好きだった時代は過ぎ、自分の時間を持つようになり、エッチなことにも興味を持ち始め……育児エッセイを描いていた著者が、息子、リュウの思春期を描いたコミックエッセイ。

ところどころ親ばかを発揮しつつも、どこかべたべたしたところがないのは、自分自身の自虐も含めて描いているからいるからかもしれません。

息子ってどうしようもないけど、親のほうもどうしようもないところあるよね、という五分五分の視点がありました。

リュウがおかしなファッションに凝り始めたとき、ひとこと言おうとして、著者の夫ががそれを止めたのが印象的でした。

やっぱ同性の親のほうが、こういうとき思うところあるのかなあと思います。

変に「似合っていない」と言うより、自分で気づくまで放っておいたほうがいいんでしょうね。

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学校をやめてダンスをした少女の青春『かわいいころを過ぎたら アン18歳』

手のかからない子だった娘、アン。彼女は高校二年生で、「学校をやめてダンスに専念する」と宣言する。著者は、アンの本気を信じて通信制高校に転校させる。果たして彼女は親との約束を守ることができるのか。

派手で勉強嫌いで意地っ張り、でもどこまでもダンスに真面目な娘アンが愛しかったです。

親や教師など、彼女の本気が周りを変えていくのは気持ちがいいですね。

彼らも悪意があって学校をやめることを反対したわけではないけれど、決めつけがあったのも確かです。

私自身も「こんなこと上手くいくのか?」と思って、固定観念の強さに少し反省しました。普通の人生とは少し違うけれど、彼女は彼女なりに自分の学生生活を果たしました。そこに拍手をしてあげたいです。

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継母となった女性がいきなり子育て初体験『初婚でいきなり2人の子持ちになりました』

好きになった人は、子持ちだった。シングルファザーと結婚した著者は、血のつながらない子どもたちを育てることになる。それは、葛藤と悩みの連続で……。継母が描く子育てエッセイ。

シングルファザーとの結婚を決意したからといって、すぐに「親の自覚」が持てるわけではありません。幸い著者は子どもたちに懐かれました。けれど常に「ママ、ママ」と呼びかけられているのも、それはそれで気苦労が多かったでしょう。

継子に嫌われるのが怖くて強く叱れなかったり、「いい母親でいなければ」と帰る前に気合を入れなおしたり、プレッシャーは相当なものだったのだろうと思います。

一方で、夫や、夫の母親など、彼女のいづらさ、複雑な感情を理解しようとしてくれる周りの人たちの存在が温かかったです。

身近な人の態度ひとつで変わることもあるんだな、と再確認しました。

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不登校少女が大学に受かるまで『不登校の17歳 出席日数ギリギリ日記』

中学生の時から不登校で、ぎりぎりの状態で高校に受かった娘。しかしそこでも学校になじめず、休みがちになってしまう。出席日数の綱渡りをしながら、どうにか高校を卒業しようとする姿を親の視点から書いたコミックエッセイ。

子どもの学費のために家賃の安いところに引っ越したり、教育ローンを受けようと模索したり金策にも駆け回るところを見ると本当に「お疲れ様です」と言いたくなります。

でも私も不登校時代があったので人のことを言えません。どうしようもなかったこととはいえあのころは親に迷惑をかけたと思います。

一方で、この漫画に出てくる娘はいろいろな問題を抱えているけど生粋の悪い子ではないんですよね。友達はいるし、うまく適応さえすればバイトができる。ただ人より頑固に生まれついてしまっただけで。

どこにでも学校になじめないこというのは数人いて、そのような子どもたちは無理に学校を救いにすることはないのかもしれません。

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発達障害の息子を得て惑う母親を描く『うちの子って発達障害!? ただいま子育て迷走中』

集団に参加できない、人と話すのが苦手……人とどこか違う著者の息子。彼は実は、発達障害だった。ことばの教室や通級教室などの教育サービスの助けを経て、少しずつ成長していく彼。母親の苦悩を描きながら、親が何ができるかを問うコミックエッセイ。

発達障害を持った母親の不安、焦り、周囲の反応が描かれていて参考になりました。

当たり前なのだけれど親だってひとりの人間で、迷いもすれば失敗もします。そういう弱さを描きつつ、周囲の助けを借りながら息子と前に進んでいく姿に励まされました。

うじうじしたり、怒ったりしながら作品自体に暗い雰囲気はありません。それは、著者が自分の感情を客観的に見て、エッセイ作品として昇華しているからでしょう。

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女性男性の共同育児をクールに見つめる『イクメンと呼ばないで ニブンノイクジ』

漫画家のうめこと妹尾朝子と小沢高広。夫婦で漫画を描いているふたりに子どもができた。ふたりで五分五分の家事と育児をするうちに、「育児の世界」が女性中心に作られていることに気付く。

男性が育児をするには、まだまだ社会的なハードルがあるんだなあと思います。男子トイレにおしめを変えるスペースがないとか、カーテンの仕切りしかないので授乳室に入りづらいとか。保育所の保護者会ではほとんどが女性で、ちょっと特別扱いをされる。

そういうハードルを減らすことで、女性の方も「ちょっとおむつ変えてきて」とか「

保護者会行けないから代わりに行ってきて」と気軽に言えるようになると思います。男だけのためじゃないんですよね。将来的に減らしていかなければならないですね。

そしてそういうハードルに対して、どこかクールに、冷静に見つめているところがよかったです。

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これが高知能発達障害家庭だ『うちのでこぼこ兄妹 発達障害子育て絵日記』

漫画家の著者の家には、ふたりの子どもがいる。彼らはふたりともASDの診断を受けていて、不思議な行動をする。体内時計の不具合、朝起きられない、学校での立ち歩き。自らも発達障害を持つ著者は、そんなふたりを見守り育てていく……。

おおよそ発達障害の子育ての話となるとあれが困っている、こんな子に産んでごめんなさい……みたいな鬱々した内容が多いんですけれど、けろっとした明るさのこの作品は新鮮でした。

日常の面倒ごとはありますが、ふたりの子どもは楽しく育っていますし、母親である著者自身も悲壮感がありません。

特に理系に強い兄、音楽や工作の才能がある妹の、才能エピソードが面白いです。このまますくすく育って素敵な学者やクリエイターになってほしいです。

ただ「高IQで才能のある子ども」「発達障害に理解のある親」「それなりに好意的な周囲」と、かなり環境に恵まれている人の話なので、逆に環境に恵まれていない人には自分と比べてしまってつらいかもしれませんね。

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訳ありレズビアンカップルの育児奮闘物語『お母さん二人いてもいいかな!?』

レズビアンである著者は、女性と事実婚をしている。その「妻」は、子持ちで、産後うつがひどく、そしてとてもつらい過去を抱えた女性だった。著者自身も虐待の過去を抱えながら、毎日楽しく七転八倒して生きる。訳ありレズビアン家庭の日常を描いたコミックエッセイ。

 

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他人の子を育てるというしんどさ『継母ですが? もう1つのシンデレラストーリー』

バツ2で二児の母だった著者は、二児の父親と子連れ再婚をする。しかし、その家族は、朝食も食べない、洗濯もいいかげんという家事をしたがらない家庭だった。著者は継子を教育し直そうとするも空回りをする。しかし「継子を実子同然に愛せなくてもいい」と気付いたことから事態は変わっていく。

比較的まめに家事をやる著者は、父子家庭だった夫があまりにも雑に家事をしてきたことにショックを受けます。そこで自分の家事のやり方を押し通そうとしますが、継子からは反発されます。

ふたつの家族が一緒に暮らせば、当然文化の衝突が起こります。そこで、無理に相手を変えようとしてしまうと相手からも拒絶されてしまう。

ふたつの家族を統一しようとするのではなく、ふたつの家族がたまたま縁があって同居している、という感覚でいるのが一番いいのかもしれません。

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アトピーの子どもと暮らして追い詰められる夫婦『パパ、かいい!』

売れない漫画家である著者は、外で働いている妻の代わりに家事を引き受け、アトピー性皮膚炎の娘を育てている。四六時中かゆさで騒ぎ続け、夜中もかいてやらないと眠れない娘に、夫婦は疲労していく。健康食品や自然療法を次々に試しても、娘はよくならず……。

私はあまり健康食品だの自然療法だのを信じていませんが、この作品はそういうものに頼ってしまいたくなる心理を丁寧に描いていました。

常にかゆがる娘にノイローゼになりつつも、何とか治してやりたい、楽にしてやりたいという一心で、夫婦は食品やローション、自然療法を試します。病気を持つ子どもを育てる苦しみと、子ども自身への愛情で追い詰められているのです。

作中の医者は自然療法に否定的で、私も同意見なんですが、だからと言って著者夫婦の心理状態は、責められないものですよね。

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ベビーシッターになった保育士の奮闘記『3時間だけママを代わります! 駆け出しベビーシッターの奮闘記』

保育士だったが、日々の雑務に追われ、「もっと子どもと向き合う仕事がしたい」とベビーシッターになった著者。ベビーシッターの仕事の内容から、子どもと付き合う上での悩み、保護者とのやりとりなど、子どもを世話する仕事について語る。

保育所へ送迎する仕事が多い、公園に遊びに行って他の保護者に話しかけられたときベビーシッターと名乗るか迷う、など、実際に仕事をしているからこそ描けるエピソードが多くて面白かったです。

ベビーシッターを頼むのはお金がかかるし、他人を家に上げることへの抵抗もあります。著者もそこは否定しません。

しかし「家が散らかっていても気にしませんよ」「自分のためにベビーシッターを頼んでもいいんですよ」と、ベビーシッターを頼みたいけれど迷っている人たちへ優しい言葉をかけます。

仕事としてお金をもらいたい、というのはもちろんあるとは思うんですが、保護者に少し楽になってほしい、というメッセージが感じられて好きでした。

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成長していく人間に寄り添う面白さが描かれている『小学生男子は本日も晴天なり!』

働きながら息子を育てている漫画家である著者。小学生の息子と送る日々は、刺激的で面白い。息子と旅行に行ったときのこと、自由研究をしたときのこと、小学校受験に挑戦したときのことなど、息子との生活をコミカルに描いたコミックエッセイ。

何となく「子どもかわいい」ネタだったり「子育ては苦しい」ネタだったりするのかなあと思って読み始めたら想像と違いました。

どちらかというと間近で人間の成長を見られる面白さ、子どもならではの視点の斬新さなどが描かれていました。

過酷な山登りで子どもの成長を実感したり、自由研究を手伝って子どものアイデアを応援したり、子どもの成長って面白いんだ、というパワーに満ち溢れていました。

でも押しつけがましさはそこまでなく、クールな視点も持ち合わせているところの塩梅がよかったです。

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突然父親になった中年男性の戸惑いと適応『父娘ぐらし 55歳マンガ家が8歳の娘の父親になる話』

50歳を過ぎてひとり身で、このまま家族を持たず暮らしていくのだと思っていた著者。しかし二児を持つシングルマザーと結婚することになり、この年にして突然の子持ちに。さらに家庭の事情で8歳の娘とふたり暮らしをすることに。著者は戸惑いつつも父親として適応していく。

気ままなひとり暮らしから、8歳の親という責任のある立場へ。毎日驚き戸惑いながらも、何だかんだ適応していくところがすごいです。

いい加減な独身男が親に、というところがこの漫画のひとつのギャップであり面白さだと思います。たまたまよくなついてくれた継子である娘に、家族がいることも悪くないと思えるようになった著者が印象的でした。

著者の周囲も、理解のある人が多くてよかったです。コミックエッセイなのでいいところを優先的に描いているところはあるかもしれませんが、それでも血のつながらない孫を受け入れてくれる著者の両親や、実質的なシングルファザー生活を見守るママ友たちの描写に癒されました

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事実婚のカップルが妊娠・子育ての分担に挑む『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』

30代で結婚に失敗し、懲りた著者は次の結婚生活を事実婚で行うことに。不満をため込んでしまった過去の結婚を反省し、「言いたいことは言う」家庭を作ろうとする。しかし、その努力も大変なもので……。不妊治療のあと妊娠し、夫とともに出産直後の過酷な時期を乗り越えていく。

著者が事実婚にこだわる理由は、過去の結婚で「テンプレ的な奥さん」像に自分を押し込めてしまったトラウマから。周囲にも、自分自身にも呪いをかけられないために、せめてもの抵抗として事実婚を選びます。

しかし妊娠して自治体の優遇制度を使ったり、母子別姓を成し遂げるために法律婚を一時的にやるくだりにはちょっと笑ってしまいました。堂々と制度を使う図々しさがあったほうがこの世の中生きやすいでしょうね。

著者は他人の目を気にしすぎでは、というところはあるんですが、「他人の目」といううすらぼんやりした何かに抵抗する手段として事実婚をしたいというのならそれはそれでいいのではないかと思います。

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自閉スペクトラム症の子どもと暮らす日常と療育のこと『つま先立ちのサンちゃん』

自閉スペクトラム症で発達がゆっくりのサンちゃん。いつもつま先立ちをしている彼女と、それを見守り育てていく両親。療育園のこと、生活のこと、好きな番組やDVDのことなど、サンちゃんの日常を描くコミックエッセイ。

自閉症の子どもを育てるコミックエッセイなんですが、読んでいると自分の子どものころを思い出してしまいました。

私もしょっちゅうストレスで体調崩したなあとか、他人に興味を持つのがものすごく遅かったなあとか……。

この漫画のサンちゃんのように知的な遅れはありませんでしたが、自閉っ子はやはりどこか似ているんだなあと思いました。

私が生まれた当時は療育に熱心な社会ではなかったので、ちょっとうらやましいところはあります。まあそれでも自閉スペクトラム症が初期に見つかったかは謎なんですけど……。

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三つ子を出産し育てた著者の母親は、義父母とともに育児に忙殺されていた『三つ子産んだら死にかけました。』

著者は三つ子の姉妹のひとりである。その母親は、どのように三つ子の子育てを乗り切ったのか……。出産で死にかけた経験から、義父母や実母を巻き込んで三人の赤ん坊を育てる苦労、そして白血病疑惑でまた入院など。波乱万丈な出産、育児をコミカルに描いた本。

母親+義父母総出でかかっても疲弊していく三つ子の子育ては、さながら野戦病院のようで大変そうでした。家族に手伝ってもらえる環境であってもこれだから、今の核家族社会では多胎児育児はもっと大変でしょうね。

80年代の話なので、昔のジェンダー観も今とは違っていて面白かったです。お嬢様学校を卒業したのに金持ちの専業主婦になって悠々自適の生活ができず、「自分はだめ男にひっかかってしまった。三つ子にはそういう思いをさせたくない」という子育てに厳しい家政婦とか。今では考えられないエピソードです。(そもそも今のお嬢様学校では「女性の自立」を説くでしょう)

三つ子の母親がその家政婦と対決せずにスルースキルで乗り切っているところにも笑ってしまいました。

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虐待されていた著者が、自らの息子を虐待しないために『ワタシはぜったい虐待しませんからね!』

父親に虐待されて育った著者は、結婚して息子を産んだ。過去のトラウマから決して虐待しないと誓うも、思い通りにならない育児に疲弊していき、ついに手を上げかけてしまう。このままではいけないと、育児のイライラをコントロールするために方法を模索する。

著者が多忙な乳幼児の子育ての中で疲弊し、追い詰められていくところはすごかったです。怖い。

著者も描いているけれど、人間の子どもってなんでこんなに不完全な状態で生まれてくるんでしょうね……シマウマは生まれて即歩くのに。

このままでは虐待してしまうと思った著者は、どうにか理性を手放さないよう、模索を始めます。

怒りを暴力に変えないためにできることを模索する著者の姿が印象的でした。

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毒親と普通の人は紙一重なんだよって話『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』

過干渉な母親のもとで育ち、なんとかその重圧から脱出した著者。そんな著者も子どもを授かった。しかし、子育ての最中にも、「母」から受けた仕打ちがよみがえる。「こうあるべき」という固定観念を押し付けず、子どもを育てるにはどうすればいいのか。トラウマ持ちの著者の苦闘が始まる。

著者は過干渉な母親に「こうあるべき」という固定観念を押し付けられ続けていたので、子どもにはそうしたくない、と強く願っています。

しかし子が「女の子だからピンク」と、「女の子らしさ」に執着するようになって戸惑ってしまいます。「女の子らしい」という固定観念に囚われるのはよくない、個性的に生きるべきだ、と。

よく考えればピンクやフリルやリボンに個性が宿っていないわけではありません。著者はそれが「押しつけ」だと気づきます。

結局のところ、毒親かそうでないかを分けるのは善意でも倫理でも優しさでもなく、ときどき立ち止まって自分の行動を振り返り、「おせっかいじゃないかな」「考えを押し付けてはいないかな」と自省できるかどうかなのだと思います。

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乳幼児の母が自分を取り戻していく『母ちゃんだってほめられたい』

著者は出産したことを機に、趣味から離れていた。離乳食を食べないことや、イヤイヤ期に悩まされながらも、子どもを育てる楽しさ、いとおしさを感じていた。著者は娘が昼寝をした時間に刺繍に挑戦し、再び自分の趣味に向き合うことになる。

この作品の我が子の描写は本当にかわいくてほっこりします。愛があふれている。友人の子と遊ばせてもらったときも思ったけれど、小さい子って独特の面白さがあるんですよね……大人には出せない面白さ。

ニコニコできる内容もあるけれど楽しいことばかりではなく、著者はネガティブでいろいろ考えすぎるたちです。でもネガティブに陥りすぎないように、アウトプットすることで自らを癒してきたのだろう、と読んでいて感じます。

子どもの昼寝時間にやりたかった趣味を再開したり、漫画を読んだり、少しずつ自分らしい行動に立ち返っていくところは、見ている方としてもほっとしました。

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以上です。興味があれば読んでみてください。