あらすじ・概要
障害者やハンセン病の人々に不妊手術を施した悪法、優生保護法。その法律はどのように作られ、どのような歴史をたどったのか。優生保護法の現在までを振り返りながら、優生主義の恐ろしさ、愚かさを伝える本。
科学者だって過ちを犯す
薄い本ですが、なかなかつらい内容の本でした。
歴史に残る悪法である優生保護法の成立から、その運用の歴史が書かれています。
優生保護法の影響を受けたのは、知的・精神障害の人、ハンセン病の人、水俣病の人など多岐に渡ります。特に水俣病と優生保護法に関係があるとは知らなかったので、その部分は興味深く読みました。公害でひどい目に遭った上に子どもを生むことにまで干渉されるのは最悪ですね。
印象的だったのは、優生保護法に協力した多くの医療従事者がいたことです。感染症であり、感染力も強くないハンセン病の人々も結婚するとき不妊手術を強いられました。またハンセン病の女性が妊娠した胎児を何度も解剖するなど、科学者が協力しないとなし得ない行為も多かったのです。
こういう文章を読むとTwitterで科学者が「科学者は真実を知っているんだ」という態度を取っているのも何だか疑わしく思えてきます。だからって反科学の主張をしたいわけではなくて、科学者だって人の子なのだからその場の状況に流されることはありうるという話です。
科学を否定するつもりはないのですが、科学者もまた自分の価値観に縛られ過ちを