あらすじ・概要
女性よりも圧倒的に高い男性の自殺率。それにはアルコール依存症、もしくは依存症とは言えないまでも無軌道な飲酒行為が関係していた。アルコールとうつ、そして自殺の関連性を紐解きながら、アルコールと適度に付き合う重要性について語る。そして、制度の方からできることとは……。
アルコールを過剰摂取し無頼な振る舞いをすることがいいことなのか
タイトルだけ見て手に取ったら、かなり男性のジェンダーの話で驚きました。女性より男性の方が自殺率が高いのは有名な話ですが、その自殺率の高さにはアルコールが強く関係しているという話です。
アルコール依存症が自殺率を高めるのはもちろんですが、依存症というほどでもなくても、うつ状態で深酒をして正常な判断を失った結果自殺したり、過剰な飲酒によって体を壊し、病気を理由に自殺したりすることもあります。
そして男性がアルコールに依存してしまうのは、社会に押し付けられた「男性は周りに相談してはならない、ひとりで我慢しなければならない」というジェンダー観も影響していると著者は言います。
私も、深酒をすることに対して、反省するどころか、無頼を気取っているような人たちがいることが気になっていました。男性がほとんどですが、たまに女性もいます。
他人の価値観を無理やり変えることはできませんが、そういう生活をしていた大伯父が親戚中から白い目で見られながら早死にしたので、心配になってしまいます。
アルコールとメンタルヘルスには深い関係があるということ、自分には欠けている部分があることを認めるのは恥ずかしいことではないこと。それを社会で共有するのが大事だと思いました。
岩波ブックレットでは珍しい二段組で、そのせいか電子書籍がないのですが、多くの人に読んでほしい本でした。