ブックワームのひとりごと

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「公認不倫」で幸せな家庭のはずなのに、悩み惑うのはなぜなのだろう―渡辺ペコ『1122』

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1122(1) (モーニングコミックス)

 

あらすじ・概要

一子と二也は仲のいい夫婦。しかし二也は外に不倫相手がおり、一子はそれを公認している。セックスレスが原因で不倫を認めることにした一子だが、徐々に己の性欲を自覚し、また幸せそうに恋をする二也を見て懊悩する。一方二也も、今の関係に疑問を抱き始めていた。

 

自分の心も他人の心もコントロールできないから迷う

いい年した大人が不倫したりしなかったりしながらうじうじ悩む漫画。なのにちゃんと面白いからすごいです。

 

結婚して何年か経って、相手と性的接触をするのが煩わしくなった。だから不倫を許した。だけどこの心の中のわだかまりは何?  という話を延々とやっています。

面倒くさいしお前が決めたんだろと思うし何一つ論理的ではないですが、同時に、人の心ってこういうままならないものだよなあと共感してしまいます。

人の心をコントロールすることはできません。相手の心も、自分の心でさえも。よい夫、よい妻でありたいのになれない葛藤が満ちあふれています。

 

主人公以外のキャラクターもすごく立っています。優しく気が利くけれど男性社会では落ちこぼれがちな主人公の夫、発達に遅れがある子を育て悩む不倫相手。どのキャラもいいところと悪いところがあり、矛盾を抱えながら生きているところに人間味があります。

 

私は自分のことで精一杯で、なかなか誰かと恋愛することを考えられません。しかし好きな人がいたらいたで悩み葛藤するんだろうなあ、とこの漫画を読んで思いました。

わかりやすい結論は出ない漫画ですが、それでも迷い惑うことを否定されないのがほっとしました。