あらすじ・概要
醜い外見に生まれついたカジモドは、ノートルダムの鐘つき男として人と接せず暮らしていた。しかしジプシーの女性、エスメラルダと出会い、恋心を抱いたことから少しずつ変わっていく。同時に、カジモドの保護者であるフロロー判事は、エスメラルダに歪んだ欲望を抱きはじめていた。
偶然醜い姿を持った人間が人生にあがく
呪いをかけられたわけでもなく神罰でもなく、ただ偶然人と異なる外見に生まれついたカジモド。彼が劣等感にさいなまれながらも努力をして自分の人生を肯定していくところがよかったです。
最終的に搾取から逃れ、自分の人生を歩んでいこうとするカジモドの姿は好きでした。
メディアやフィクションに取り上げられる障害者って、視覚障害や聴覚障害、あるいは車椅子など、顔に障害がない人が多いんですよね。
もちろん古い作品なので間違ったところもあるのですが、普通と違う人間を搾取する人々の醜さを直球で描いたところは好感が持てました。
悪役、フロロー判事も印象的なキャラクターでした。
ディズニーヴィランって自分のやっていることが悪だと自覚しているキャラが多いと思うんですが、フロローは自分の行動をどんどん正当化しようとします。エスメラルダを魔女だと呼んだり、カジモドに「お前に優しくしてやれるのは自分だけ」と説きます。
この自分を正当化するところが生々しいというか、実在しそうな悪役なのですよね。犯罪ってやっている人は悪いと思っていないことも多いし。
ストーリー半ばを過ぎてからのヤンデレムーブは見物でした。女性ひとりのために町ひとつ焼くのは怖いです。
カジモドをいじめた民衆は少しは反省しろよ! と思うんですが、もしかしたら最後のシーンが償いなのかもしれません。
直接的な描写ではないけれど人死にが多く、恋愛要素も可愛らしいというよりドロドロしていますが、ディズニーの絵柄と世界観でこれが見られるのは新鮮でした。