あらすじ・概要
少女、エステラは母親を亡くし、泥棒の少年ふたりと暮らしてきた。ある日エステラはあこがれだったファッションデザイナーの元で働けるようになったが、そこは最悪の職場だった。そして、エステラが母の死の真実を知ってしまったことから歯車が狂い始める。
過激だけどビターで切ない映画
倫理のない女が倫理のない女と戦う話であり、どこかビターでままならない気持ちになる話でした。
クルエラが「実はいい人」として扱われない代わりに、悪役がクルエラよりよほど倫理がないキャラクターとして描かれています。復讐譚だけど悪い女と悪い女が戦っているからエンタメとして楽しめるんですよね。
そして戦う手段がファッションなのがよかったです。特殊なデザインのドレスの数々が楽しかったです。
そしてクルエラは悪い女なんだ、おかしいんだ、と描かれながらも、クルエラの本名「エステラ」の持つ属性がすり減っていくところが切なかったです。
亡き母を慕い、ファッションデザイナーになる夢を持つエステラ。彼女はひねくれもので個性的ではありますが、「悪」とは言えませんでした。仲間を大切にし、憧れの職場で働けるようになると無邪気に喜ぶこともできます。
しかしそんなエステラのままでは、夢を叶えることも、復讐することもできませんでした。
エステラにも、きちんとチャンスが与えられ、正攻法で成功をつかむことができれば、何かが換わったのかもしれません。
変わっていくクルエラに対して、仲間ふたりが幻滅していくのが印象的でした。
「クルエラ・デビル」の音楽が流れたときには複雑な気分になりました。