ブックワームのひとりごと

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唐沢孝一『都会の鳥の生態学–カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰』中公新書 感想

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都会の鳥の生態学-カラス、ツバメ、スズメ、水鳥、猛禽の栄枯盛衰 (中公新書 2759)

 

あらすじ・概要

大都会には多くの野生の鳥が暮らしている。わざわざ人間の近くに巣をつくるツバメ、ソメイヨシノの蜜を吸うスズメ、生ごみを漁るカラス、小さな鳥を狙う猛禽。鳥たちの多様でしたたかな生存戦略を紹介するとともに、人間と都市に暮らす動物たちの関係について考える。

 

都会の鳥のかわいくてずる賢い面白さ

小鳥はかわいくて可憐ですが、一方でしたたかでずる賢い行動を取ることもあります。動物は素敵だ、ロマンチックだという主張より、どこか人間にも似たずるさやわがままさを持っているという話の方が、私は楽しいです。

生き物が「いま、ここにいる」という事実は、良くも悪くもないという思想が好きなのかもしれません。

人の近くに巣を作るツバメや、ソメイヨシノの蜜を吸うスズメ、カラスと言ったおなじみの鳥だけではなく、猛禽やフクロウまでもが都市で人々と生活しています。描写自体はざっくりしたものですが、雑学的に面白かったです。

この本を読むと、身近な鳥たちを観察したくなります。日常で見るカラスやスズメたちも、研究して見ると奥深い生態を持っているのかもしれません。そう思うと楽しいですね。

 

本題である鳥とは関係がありませんが、この本の中には鳥についての調査を手伝ってくれる一般市民が多数登場します。目撃情報を寄せてくれる人や、野鳥が巣作りしている間は作業を止めてくれる人、人海戦術に協力してくれる学生などなど。

他の動物でここまで調査の協力者が多いのはなかなかない気がするので、野鳥というのは生き物好きの中でもメジャージャンルなのだと感じます。

最近マイナーな動物を研究している生物学者と接する機会が何度かあったので、余計にそう思うのかもしれません。