あらすじ・概要
夫にキレる衝動を抑えられない著者。ちょっとしたことで怒鳴り散らしてしまい、自己嫌悪に陥る日々だ。これではいけないとキレない方法を試しても、上手くいかない。そんな中、ゲシュタルトセラピーというものに出会い、著者の価値観は変わっていく。
良い人ってわけではないけどこういう漫画も必要
コミックエッセイの問題作としてよく名前が上がるので、一度読んでみなければと思っていました。読んでみると思ったよりもまともでちゃんとした内容でした。
著者は普段は内気すぎるぐらいなのに、恋人や夫など距離感の近い相手にはキレてしまいます。言葉だけならまだしも、暴力が出てしまうことも。著者は何度もそんな自分に自己嫌悪を起こし、キレるのをやめたいと望みます。
しかし、暴力的な家族に悩まされる人々の話はあっても、自分が「暴力的な家族」になってしまった場合どうすればいいのか情報がありません。著者はそこで行き詰ることになります。
著者は、ゲシュタルトセラピーに参加したことをきっかけに、自分の内面にある感情に気づきます。そこから、怒りをコントロールできるようになっていきます。
怒らなくなったことで、「キレる私に付き合ってくれる聖人君子のような夫」が実は欠点もだめなところもある、普通の男性であることに気づくのも面白かったです。
よい、悪いという二択ではなく、人間はあいまいで灰色な存在なのだと受け入れ、そこから極端にキレなくなっていく著者が印象的でした。
正直著者のような人が家族にいたら困ると思います。夫も、著者に理不尽にキレられて許せないこともあるかもしれません。しかし、DVをする人としない人に、明確な境界線はありません。この漫画を読むことによって、誰かがDVを思いとどまることができれば描く価値はあったでしょう。
とはいえあまりにもせきららな内容過ぎるので、このコミックエッセイを描いたことについて、家族の方がどう思っているのか気になります。許容しているのであればすごいです。