ブックワームのひとりごと

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『恋衣花草紙』小田菜摘 全2巻 ビーズログ文庫 感想

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恋衣花草紙 ~山吹の姫の物語~ (ビーズログ文庫)

 

あらすじ・概要

事情により大きく年の離れた帝に嫁いだ真子(さなこ)。息子である東宮とは幼なじみとして仲が良かった。帝が崩御し、真子は未亡人となる。大人になった東宮と惹かれあうが、帝の妻が他人と恋愛するのははしたないとされる時代で……平安時代の女性の立場の悪さとそれでも恋をするたくましさを描くラブロマンス。

 

一夫一妻の貞操を批判する意欲的ラブロマンスが良い

あまり少女小説には見かけないシチュエーションで面白かったです。

女性に求められる貞節をテーマにしつつ、ラブロマンスとしても手堅い出来です。テーマと恋愛を絡めるのが上手いです。

シリーズ2巻ですが、それぞれ違うカップルの違う話なので、好きな方から読んで大丈夫です。

 

1巻は幼くして入内し、未亡人として扱われるようになってしまったヒロイン。

幼馴染みとの再会をきっかけに恋に落ちますが、一度結婚した女性が再婚するのははしたないと言われる時代。ふたりは苦悩します。

政治的なあれこれが展開されて面白かったです。

あとがきには夫の死後結婚した古代女性の例が色々書いてあります。ジェンダー観は変わっていくものですね。

 

2巻は若くして最愛の妻を亡くした帝の元に嫁ぐ女性の話。

同じく帝に入内した女性たちとのドロドロな展開もあり、ラブロマンスというよりも宮廷泥沼劇の様相になってきます。

しかし最終的には収まるべきところに収まり、ほっとしました。

一夫多妻制で「わー、嬉しい」みたいになる男性もいるだろうけど、好きでもないのに複数の女性と結婚しなければいけないの面倒くさい……となる男性もいるだろうと思います。この作品はそこを描いていて面白かったです。

女御も子どもを産むのが仕事みたいなものなのだから、自分の意思を貫くために子どもを作らないというのはかわいそうではあると思います。すべては家父長制が悪いのであって彼女らの思想が悪いわけではないです。

 

恋愛ものを書く上で、永遠の愛を描いた方がロマンチックではあります。しかしながら、歴史上過度な貞節の悪影響を受けた女性も多いです。「夫に先立たれた妻は自殺するのが一番いい」みたいなわけのわからない価値観があった時代や地域もあるわけですからね。

貞節というのは女性を犠牲にしてでも守るべき価値観なのか?という視点は大事だと思います。

それを貞節が過剰に美化されるラブロマンスの世界でやるのは挑戦的です。その挑戦を評価したいです。

 

 

 

 

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