ブックワームのひとりごと

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『1984』ジョージ・オーウェル 角川文庫 感想

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1984 (角川文庫)

 

あらすじ・概要

党のため文書の改竄を繰り返しているウィンストンは、同時に党の支配に強い嫌悪感を覚えている。彼は反体制行為であるはずの日記をつけはじめる。また、逢い引きをして危険視されている性の快楽を謳歌する。ウィンストンはさらに反体制組織に接触してみたいと思うが、党の監視はウィンストンを見逃さなかった。

 

政府による国民の分断と戦争

舞台はアメリカと大英帝国が一体化した国オセアニア。この国は常に戦争状態にあります。

オセアニアでは、テレスクリーンという機械で党員たちはみな監視されています。さらに「ニュースピーク」と呼ばれる言葉の単純化が進み、複雑で曖昧な概念は言葉で表せなくなりつつあります。

街では子どもたちが「スパイ団」として党に密告を行っています。子どもが親を告発することは日常茶飯事です。その結果党の大人たちは常に子どもの監視に怯えています。密告の原因はとてもささいなことです。軽い気持ちで罪をでっちあげるなど容易いことでしょう。

主人公は党員として過去の記録の改竄を繰り返す一方で、党の支配体制に強い嫌悪感を覚えています。その結果禁止されているはずの日記をつけたり、若い女性と逢い引きしたり、反体制組織に接触してみたいと願ったりします。

前半は主人公が監視の目を潜りながら反体制行為を行う話です。しかし反体制行為と言っても、現代の人権感覚からすれば対して危険でも過激でもありません。人として当たり前の行為すら反体制として扱われるおぞましさを感じます。

 

終盤、主人公は逮捕されて過酷な拷問を受けます。主人公の視点がどんどんおかしくなっていくのに、私も頭を侵食されそうでした。自分が信じているもの、正しいと思っていることに干渉されるのは恐ろしいです。

党の主張する思想には善悪の区別などもはやなく、ただ権力を維持するためだけのシステムになっています。党内部の人間にとっても、それは幸せとは言いがたいです。なぜなら今権力をほしいままにしていても、「党が正しくあるため」ならすぐさま拷問され処刑されるのですから。

 

大人になった今読み返してみると、主人公の女性嫌悪っぷりと女性崇拝っぷりが気持ち悪かったです。それも党が人々の断絶を計り、男女がまっとうな絆を結べなくなってしまっているからでしょう。主人公にとって女性は象徴的なものであって対等な人間ではないのだなと感じます。

 

 

 

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