ブックワームのひとりごと

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『春あかね高校定時制夜間部』heisoku 角川コミックス・エース 感想 訳アリ高校生たちの青春漫画

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春あかね高校定時制夜間部 (角川コミックス・エース)

 

あらすじ・概要

春あかね高校定時制夜間部には、訳アリの高校生たちが通っている。精神疾患、虐待家庭、不登校、あるいは高校に通えなかった成人たち。彼らはそれぞれ問題を抱えながらも、仲間と交流し、学園生活を営んでいく。ちょっと変わった青春ストーリー。

 

問題は解決しないが、否定もしない青春ストーリー

精神疾患、虐待家庭、引きこもりなど、訳アリの高校生たちが集う定時制高校。ときに闇が深く不謹慎ですが、ストーリー自体はコミカルです。あまりに生々しすぎて笑っていいのかわからないネタも多いです。

そして、生徒たちの問題がドラマチックに解決されることはなく、生きづらさも日常の一部として描かれます。友人ができて、話し合えてよかったね、とはなりますが、それは人生を大きく動かす事件ではありません。

著者自身が定時制高校に通い、訳アリの子どもたちを身近に見てきたからこそ書ける空気だと思います。

生徒たちが、お互いに変なところを感じながらも、仲良くやっているところがよかったです。こういうコミュニティがあれば素敵でしょうね。

 

キャラクターの中には、卒業後もまともな職には就けず、いわゆる「詰んでいる」ような子もいます。しかしこの漫画は、そんな子どもたちをも否定的には描きません。

普通になれなくても、貧困や暴力が身近であっても、よりよい人生を歩きたいと願う若者たちは美しいです。

そして、現実の、苦しい人生を歩む子どもたちにもっとチャンスがあればいいのにと思いました。当事者は現状を受け入れるしかありませんが、社会にはまだできることがあります。普通に学校に通えない子どもたちにも手を差し伸べられる世界であってほしいです。

 

 

 

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