あらすじ・概要
双子同士で仲良く付き合っていた萌・苗と、賢・武。しかしその関係は萌の死をきっかけにぎくしゃくしてしまう。三人が萌の死を受け入れて前に進もうとしたところ、死んだはずの苗を街で見かける。萌を発見した三人は謎の研究所に閉じ込められる。そこは死者を「生きた剥製」として甦らせる研究をしていた。
二転三転する展開をしつつきれいにまとまった傑作
きょうだい愛、恋愛、ホラーとサスペンス、そして親しい人が蘇るとどう思うか、を丁寧に描きつつ、3巻という短さできっちりまとめた傑作です。
双子同士のカップル(片方は友達以上恋愛未満だけど)の中で一人が死に、その死によってすべてが狂い始めます。
萌の死を受け入れて生きていこうとする三人は、謎の研究をしている施設に捕らえられ、そこで秘密を守るため一生を過ごすことを命じられます。
当然そんなことを受け入れられるはずはなく、三人は脱出を目指します。
ここまでが冒頭の展開で、次々と衝撃の展開が襲い掛かってきます。主人公の苗は悲しみを抱えながら、脱出を諦めません。その強さに読者としても救われました。
仲間を守るために命を懸ける苗はとてもかっこよかったです。そんな姿に魅力を感じてついていきたくなる周囲に共感しました。
本作の悪役である科学者が、いかにもな悪というより、優秀なのにどこかが根本的に欠けているという属性だったのも面白かったです。
顔がよくて優秀で、他人を魅了する能力があるにもかかわらず、気に入らないことがあれば投げ出してしまう子どものようなところもあります。
「少女漫画のキャラクターの顔はみんな美形」というお約束に対してもこの作品では彼の価値観に根差したものだということがわかります。フィクションだから突き放して見られますが、実際こういう人間が、同じ世界戦にいると不気味でしょうね。
やっていることは絶対にだめなのですが、周囲の人が好きになってしまうのもわかる気がします。
終盤の彼の抱えていた秘密は、ぎょっとするものばかりでした。そして現れる男女間のドロドロ感情。しかし普通に許されてはいけないキャラクターなので、このくらい無残な展開な方がいいのかもしれません。
彼の結末は、因果応報的でもあり、不気味でもありました。

