あらすじ・概要
著者の父方の祖父、母方の祖父は現代では考えつかないような暮らしをしていた。その来歴は「二次元のキャラクターのよう」で……。著者は母方・父方の家族から祖父たちのエピソードを聞き取りつつ、漫画として彼らの生き方を紹介する。
大正昭和の価値観や波乱万丈さを平成令和の視点から見る
二次元すぎる……というより大正、昭和の文化というのは平成の視点からはびっくりするようなもの、と表現するのが正しいでしょう。少し世代がずれるだけで、価値観はどんどん変わってしまいます。そこが面白くもあります。
ジェンダーや家制度的にも嫁が使用人同然として姑にこき使われていたり、長男夫婦に家を乗っ取られていいようにされたり、波乱万丈でした。
当時としても仕方なくそれを受け入れていたわけではなく、抗ったり嫌になったりもめたりはしてたんだなあと思います。
そしてこんなもめながらも一族としては存続しているところが不思議でもあります。よそ者が多い土地に生まれたので地元だったらとっとと縁を切るかもしれないですね。文化はひとそれぞれですけど。
景気がよかったのに突然貧乏になったり、中国に移住したのに終戦で引き上げなければならなかったり……と所有する金銭や階級の変動が激しい話でもありました。
でも大正昭和のほうがこういう話を聞くような気がします。平和になってからの方が落ちぶれたり成り上がったりはしづらくなるのでしょうか。
根本的な原因は日本軍にあるとはいえ、引き上げのときに中国兵に加害されないかハラハラしながら生活するのは怖そうでした。
著者の両親はいとこ婚であり、父方の祖母・母方の祖母は姉妹です。よってこの作品に出てくる家族は3つです。
家庭の事情でいとこ結婚した……わけではなく、「血が濃すぎる」と反対されたにもかかわらず強情に結婚を望み、周囲が仕方なく許したという経緯だそうです。
結果的に許されてよかったと思いますが、タフな一族だなあと思いました。
著者が「NHKのファミリーヒストリーを意識した」と作中で語っていましたが、世の中にはもっといろんなファミリーヒストリーがあるのだろうなと感じさせる漫画でした。