あらすじ・概要
著作権、商標権、意匠権、特許権。これらの権利で守られる財産を「知的財産」と呼ぶ。パクリはどこまで許されるのか。権利保持者はどこまで権利を主張できるのか、実際にあった知財トラブルを例にして、知的財産の今を語る新書。
知的財産のトラブル例をたくさん見られる内容の濃い本
『楽しく学べる「知財」入門』と同作者ですが、内容が被るところが少なく面白かったです。
コメダ珈琲、任天堂とコロプラの裁判、タニタ、知っている企業がいろいろ出てくるのが面白かったです。
具体的な例があると知財についてぐっと解像度が増します。
本の中では有名な知財トラブルが取り上げられていますが、見たことのあるニュースでも知らないことが多かったです。
テレビや記事で語られていることは事実の一部でしかありません。月日が経ってからわかることもあるし、詳しく調べてみないとわからないこともあります。自分の価値観に固執せず、転換するときはするという姿勢が大事ですね。
創作をやっているオタクは漠然と「侵害する方が悪い」となってしまいますが、真似した方にも一応言い分があります。そして、あまりに既存の会社の立場が強くなってしまうと、本来知財への権利侵害でないはずの状況にまで圧力をかける様になります。
既存の権利を守りつつ、新規参入が難しくならない法律を目指して、法律の仕事をしている立場の人も模索が続いているのでしょう。
ただ内容には「もっと議論されるべき」テーマも多いので、十把ひとからげに「炎上」という言葉でまとめてしまったのは題名がそぐわなかったと思います。タイトルよりも真面目な内容で中身も濃いので、知財に興味がある人に読んでほしいです。