あらすじ・概要
主人公、葉蔵は女好きで破滅的、問題行動を繰り返す青年だった。しかし彼の内面には、恐怖と絶望があった。独特の一人称で、一人の男の生い立ちと破滅に至るまでを描く小説。
破滅的な男と共依存的な周囲のズブズブ関係
お調子者で女好き、刹那的に生きている主人公ですが、その内面は常に人の視線におびえています「お道化」と言って笑いをとって見せ、それで他社と繋がろうとします。
主人公の努力の一方で、状況は加速度的に悪化していきます。主人公は他者を理解しようとしているわけではなく他者におびえているだけだからです。
主人公は擁護のしようがないクズです。一方で、自我が空っぽだから他人に振り回されている面があります。子どものうちに自分の自我を育てることができればよかったのでしょう。
意外と性加害に対して露骨な面もありました。
主人公の妻は商人に性加害を受けました。そのことで夫婦の仲がぎくしゃくしてしまいます。妻は悪くないと知っていてもなお、気持ちの整理ができなくなります。
また、主人公は使用人に「犯された」と言ったり、入院中に看護婦たちに手を握られたりしています。
犯されたというのはどこまでやったかわかりませんが、看護婦が手を握ってくるというのは相当気持ち悪いセクシャルハラスメントです。主人公が顔がよくてモテるからといってやっていいことではありません。
主人公が女性との距離感がわからずいつも破滅してしまうのは、こういうセクハラを受けた経験からなのかもしれません。
久しぶりに読み返しましたが、先にコミカライズを読んでいたので話の筋を追うのが楽でした。古い本は読みづらくて挫折してしまいがちなので、あらすじを事前に知っておくのは大切ですね。


