ブックワームのひとりごと

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『母がしんどい』田房永子 角川文庫 感想 過干渉な親から離れるまでのエッセイ

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母がしんどい【電子特典付】 (角川文庫)

 

あらすじ・概要

過干渉の母親に育てられた著者。ささいなことでかんしゃくを起こし、娘の行動を支配しようとし、理不尽なことを要求する。著者はそれに疲弊していった。長じて男性と付き合うようになった著者は、勝手気ままな男性に振り回されてしまい、母親の影響を顧みることとなる。

 

子どもを支配する親の恐ろしさを描く

毒親漫画のさきがけのようなエッセイ。過干渉の親に縛られ、自立するまでを描きます。

距離感のない母親は、娘のやることなすこと全てを支配することにこだわり、進路から生活、思考まで口出ししてきます。著者はそんな母親に疲弊していくこととなります。

子どもが友達と出かけることに嫉妬してイタリア旅行に無理やり連れて行ったり、ちょっとしたコミュニケーションの齟齬で手が付けられないほどかんしゃくを起こしたり、目の前にいたらとても怖いだろうなと思いました。

父親は無口ではありますが、そんな母親を止めません。話さないだけで、押しつけがましさはそれほど母親と差がなかったり……。母親がどうというより夫婦そろって子どものことを愛せていないのだと思います。

 

こういう家庭内事情を暴露すること自体に嫌悪感がある人もいるでしょう。しかし、家庭内部での理不尽な仕打ち、暴力、暴言は今まで取り上げられることが少なかったわけです。既存の「家族は分かり合える」という規範が苦しかった人にとっては救いだったと思います。

家族と言えど分かり合えないことはあります。だからこそ、家を出て縁を切ったり、親を恨んだり、親との生活を拒否しても構わないのだ、ということが大事だと思います。

 

 

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