あらすじ・概要
不良少年、金田は事故に遭った仲間、鉄雄を連れ去られた。鉄雄を取り返そうとするも、鉄雄は不思議な力に目覚めていた。力に目覚めた鉄雄は、その能力を使って金田を圧倒し、彼への憎悪を語る。だが、その能力は人間には過ぎたものだった。
友情と劣等感に物悲しくなる
久しぶりに見返しました。
鉄雄はリーダーシップがある金田にずっとコンプレックスを抱いていましたが、同時にいじめから助けてくれた金田を慕う気持ちもあります。鉄雄の持つ二律背反が、作品の人間関係の肝となります。
嫉妬と憎悪、友情とあこがれが複雑に絡み合ったふたりの関係はもの悲しく、崩壊に関しても切なさがありました。
ナンバーズの子たちも一見不気味だけれど、人並みの暴力を忌避する感性や、責任感を知っているのがなんだか憎めないですね。ああいう育ち方をしたというのに人のことを考えられるのはすごいです。
もちろんアニメーション技術もすごいです。死と再生、生き物の細胞分裂や発生を思わせる有機的な表現は恐ろしかったです。世界を滅ぼすほどの能力を持っている、という説得力があります。自分自身の能力に飲み込まれていく鉄雄はかわいそうでした。
そこが本題と言うわけではないですが、結構恐ろしいシーンが多いのでグロやホラーが苦手な人にはおすすめしづらいです。
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