ブックワームのひとりごと

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『整形水』を見た感想 韓国の外見至上主義を描くホラー

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整形水(吹替版)

 

あらすじ・概要

外見に強いコンプレックスを持つイェジは、自分の醜い姿がインターネットにさらされたことで引きこもりに陥る。そんな彼女を美しくしてくれたのが整形水だった。整形水の魅力に囚われたイェジは、心配する家族すら巻き込んで美にのめりこんでいく。

 

本当はただ大切にされたかっただけ

脚本はべたべたなホラーですが、べたなだけでは終わらない凄味がありました。

 

醜いゆえに人にばかにされてきた主人公が、劣等感ゆえに「整形水」に手を出し、逆に転落していきます。

女性が外見を評価され、ランク付けされる描写がめちゃくちゃきついです。

グロデスクですが、あまりリアルな描写ではないのでグロ苦手な私でも見られました。

 

きれいになりたい、人に愛されたいという欲望の裏側には、「真っ当な人間として、相手に扱われたい」という感情があります。

主人公の、相手の人を人とも思わない発言に怒るシーンに心が詰まりました。本当は、美しくなるよりも、対等に扱われたかったのではないかと思います。

 

3DCGとしてはカクカクしているところもあるんですが、それを忘れさせるぐらいの演出、脚本で面白かったです。

また、日本語吹き替えの声優陣の演技力もすさまじかったです。アニメってアニメっぽいキャラばかり出てくるので、こういうオタク二次元的ではない場所での演技は新鮮でした。絶叫、怒り、侮蔑、咆哮……多種多様なネガティブ演技が見られました。

 

 

 

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