あらすじ・概要
世界がどこから発生したのかや、人間創造の物語、神の力を借りる英雄譚など、神話はさまざまな物語を描き出している。世界にはどんな「聖なる物語」があるのか。地域ごとに特徴的な神話を紹介し、似ているところや独創的なところを比べて考える神話解説本。
世界各国の神話の関連性や独創性を見てみよう
一冊の本に各国の神話が載せられているわけなので内容はどうしてもダイジェストになりますが、その分神話ごとの関連性や特性を解説してくれてよかったです。
神話から遠い土地にも文化的なつながりがあることがわかったり、めずらしい神話から古代の人が独特な世界解釈をしていたことがわかったり。文化として神話を学ぶことで、文化がどうやって世界に広がっていったのか想像できます。
普段あまり触れることのないアフリカの神話や、南アメリカの神話、オセアニアの神話も紹介されているのが興味深かったです。
神話には現代の倫理感覚とはかけ離れた描写もありますが、「良い悪いではなく、当時はそう思われていた、ということを大事にしてほしい」という著者の姿勢がよかったです。
人権という感覚が生まれたのも紆余曲折があったららで、この時代の人々はその紆余曲折を経験していないわけですからね。
旧約聖書もある種の神話の一つなのですが、キリスト教徒が「実際に起こったこと」と信じていたせいで旧約聖書に類似する他の地域の神話を見つけてキリスト教徒が腰を抜かしたというエピソードが面白かったです。
現代的なクリスチャンは「聖書で起こったことは『文化的なルーツ』というだけで科学的な事実とは違う」と思っている人もいるらしいですが、そりゃ当時は腰を抜かしたでしょうね。
「日本人が国生み神話を実際に起こったことだと思っていないけど、文化的なルーツとしては大切にしているのと同じ」らしいです。

