あらすじ・概要
読んだ本をすべて記憶する能力を持っていた遊紙。彼は紙魚という文字を食らう生き物に憑りつかれ、読む本を読んだ端から忘れていくようになる。飢えたように本を読み続ける彼は「森人」を名乗る少女と出会い、この町の本にまつわる不思議な出来事を体験していくこととなる。
本にまつわる伝奇ファンタジー
紙魚に入り込まれた少年が不思議な体験をしていくシリーズ。序盤は連作短編の形に近いです。人でないものとの交流や、本にまつわる超常現象など、町で起こる不思議なできごとを描いていきます。
重要な生き物として登場する「紙魚(しみ)」は虫の姿ではなく魚の姿をしており、作中でも魚として扱われています。実際に実在する虫の方は結構気味が悪い姿です。でも虫の方も魚に似てるんですよね……。
後半になってくると遊紙と同じように「音楽」にまつわる能力を持つ少年が現れ、彼と、遊紙、彼の両親や祖父母も絡んだ世代を超えた友情の物語になってきます。
遊紙の中に入った紙魚はいったいどういうものなのか明かされ、この町の秘密に触れます。その結末は美しくドラマティックでした。
しかし話が幻想的で観念的になりすぎて「どういうこと?」とわからなくなり読み返すことも多かったです。読むことの難易度は高い漫画でした。
『この本を盗む者は』深緑野分 角川文庫 感想 少女が本と家族の呪いから脱出する幻想文学
【「東洋一」を目指した図書館の歴史と、「何のために本を集めるか」問題の変遷】長尾宗典『帝国図書館――近代日本の「知」の物語』

