あらすじ・概要
韓国から土木作業のために北朝鮮に出張することになった著者。「将軍様」を崇拝する北朝鮮の人々はどこかおかしく、同時に人間味がある。著者は北朝鮮で起こったことを記録しておくことにした。大きな矛盾を抱えて暮らす北朝鮮住民の、リアルな日常とは。
南から来た技術者が見た北朝鮮のおかしさと普通さ
韓国(北朝鮮の人々は南朝鮮と呼ぶ)から仕事で北朝鮮に出張し、その記録を漫画にしたドキュメンタリーエッセイ漫画。
作者は「将軍様」を崇拝する姿や、共産主義という理想を無理やりにでも信じようとする北朝鮮の人々に異様さを感じます。彼らは矜持が高く、南朝鮮の人たちを下に見ています。
しかしながら、工事で共同作業をしたり、食べ物や道具のもののやりとりをしていると心が通うこともあります。そして、北朝鮮の人々が死者を弔い、家族を思い、生活をする姿に何とも言えない複雑な感情を抱きます。
著者にとって、北朝鮮の人々はディストピアのような国で未だに矛盾した思想を崇拝する異常な民であり、同時に存在しない未来で、隣人になれたかもしれない人々です。
著者は北朝鮮の人々を見て自分の少年時代をたびたび思い出します。経済成長する前の韓国もこのような文化を持っていたわけです。
ほっこりするシーンだけではなく、電話が盗聴されていたり、何かしないか見張りがついていたり、韓国からの荷物をしつこくチェックされたり、言論統制国家らしいシーンもたくさんあります。北朝鮮の人々も、著者に興味を持っても「総括(みんなの反省会みたいなもの)の理由になってしまうから」と仲良くなれません。
そんな状況ゆえに、北朝鮮の人々が食料を分けてくれたり、こっそり内緒で取引をしてくれたりするところに、救われます。普通の人間のやりとりだから。
漫画の間にコラムがあり、北朝鮮の歴史を語ってくれています。韓国の人から見た北朝鮮の文章を読むのは新鮮でした。
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