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『音のない世界と音のある世界をつなぐ――ユニバーサルデザインで世界をかえたい!』松森果林 岩波ジュニア新書 感想

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音のない世界と音のある世界をつなぐ――ユニバーサルデザインで世界をかえたい! (岩波ジュニア新書)

 

あらすじ・概要

ユニバーサル・デザインとは、障害のある人や外国人などにもわかりやすいデザインのこと。著者は聴覚障害の人にとって暮らしやすい世界を目指して、ユニバーサル・デザインを広める活動をしている。聴覚障害の人たちの被災体験や、著者の来歴から、暮らしやすい社会を考える。

 

震災や聴覚を失う過程の描写が生々しい

聴覚障害の人にとって暮らしやすい世界を目指して、著者は奮闘する話。

序盤は著者の東日本大震災での体験や、他の聴覚障害の人の被災についての話です。聴覚障害の人たちが災害時にどのような不安を感じていたのか、困難はどのようなものなのか書いてあります。

宮城の聴覚障害の人たちの学校は寄宿舎がある、ということをここで知りました。実家が遠いので寄宿舎で暮らす子どもたちも多いらしいです。

親元を離れての被災は本当に大変だったでしょうね。

 

著者が思春期に聴覚を徐々に失っていく描写は読んでいてきつかったです。一番大変だったのは著者だと思いますが、両親もどう支えていいのかわからなかったでしょう。

友達と会話ができなくなっていく、勉強についていけなくなっていく、障害をなかなか受け入れられない。中高生の自我が不安定な時期も相まって、著者の絶望が感じられました。

著者は聴覚障害の人のためのコースがある短大の存在を知り、そこに進学したことで自分に自信を得ます。聴覚障害の人も勉強をしたり、コミュニケーションを取ったりできるという事実を得て、自分を取り戻していきました。

障害者にとっていかに学校が重要か、わかる描写です。

 

著者は聴覚障害にとって暮らしやすい社会を目指すためにさまざまな場所で活動するようになります。ディズニーランドで聴覚障害の人たちも楽しめるようにしたり、TVの字幕について活動したり。

自分の権利を主張しつつ、叶えてもらったらきちんと感謝状を贈るなどする著者が印象的でした。

単純に感謝しているのもあるだろうけれど、処世術がうまいというか。そういう処世術を障害がある人が持つというのも、これからの課題かもしれません。

 

 

 

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