あらすじ・概要
売れないライトノベル作家、桜庭一樹は『GOSICK』のヒットにより首の皮一枚つながるが、それは「読まれる」ことへの葛藤の始まりだった。読者に誤読されたとき、崇拝されたり感情移入され過ぎたりしたとき、作家はどのようにあるべきか。「読む・読まれる」ことの関係を考える本。
想定していない感想にどう向き合い乗り越えるか
モンスター読者について作家はどう対応すべきか、という話を想像していたのですが、もっと広い視野で書いてある本でした。
著者はライトノベル作家から一般小説へと主とする分野を変え、その過程で「自分の作品についてさまざまな反応をする読者」と出会います。
ないはずのシーンをあったと勘違いしている人、全く違う解釈で読まれてしまうこと、作品と人間を同等に扱いすぎる人々。
著者自身も読み間違えること、記憶違いを書いてしまうことがあり、その反応はブーメランでもあります。自身に向けられる感想に対してなるべく寛容でありたい、と心を砕きます。
しかし作家は全ての感想に対して沈黙を貫かなければならないのか、というとそうでもないでしょう。あまりにも差別的な反応、誹謗中傷に近い反応には「嫌だ」と言っていいはずです。そのあたりの塩梅も難しかったです。
私も青春時代に桜庭一樹の本を夢中になって読んでいたので、著者の時間経過を追うのは感慨深かったです。
本の内容としては作者側の考えが多いですが、まがりなりにも感想を書く立場として身につまされるものがありました。自分は誠意をもって文章を書いているだろうか? 間違いを素直に認められるだろうか? と考えてしまいました。
このブログも間違いを見つけたら私がしれっと直してますしね。
どんなに努力してもいつも正しいことが書けるとは限りません。ならば考えを改めた方がいい時に素直に認めたり、謝罪をしたりするのが重要なのだと思います。
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