ブックワームのひとりごと

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『日本の無戸籍者』井戸まさえ 岩波新書 感想 戸籍がない人たちからたどる日本の少数派

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日本の無戸籍者 (岩波新書)

 

あらすじ・概要

日本において個人や家族を管理するためのシステム、戸籍。しかしその戸籍に載ることができない人々がいる。離婚した親から生まれた子どもや、出生届を出してもらえなかった人、戦争や災害のごたごたで戸籍が失われた人たちなど。多様な無戸籍者を紹介しながら無戸籍者の実態に迫る。

 

無戸籍者の歴史はマイノリティの歴史

序盤は離婚後300日以内に生まれた子を「全夫の子」とする規定により無戸籍になってしまった人々の話です。DVやモラハラをした夫との家族関係を続けたくないのに方がそれを許さなかったのです。

この規定は2024年4月に改訂されましたが、ここまでぐずぐず改訂を引き延ばす理由があったのか不満です。

 

中盤には戦争の災禍に巻き込まれて戸籍を失った人々が出てきます。東アジアへの移民を推進していた日本政府に従って国を出たのに、敗戦によって居場所がなくなり、帰ることができなくなった人たちがいます。侵略者の民族であるため、留まっても差別されることが多かったです。

そしてこれを見るとさっきの離婚後300日規定に悩まされていた人たちがばかばかしく感じます。戦争がらみだったらいいという意味ではないですが、どうしてこんな目に遭った人とただ離婚した親から生まれた人が同じ無戸籍なんでしょうか。

 

無戸籍に陥りがちなのは外国にルーツを持つ人、非差別民、定住をしない人々など、社会において「普通ではない」とされる人々です。それゆえに無戸籍者の歴史はマイノリティの歴史でもあります。

無戸籍であることは問題ですが、そもそも戸籍制度自体が非効率なシステムです。そして、非効率なシステムが維持されてきた背景には男尊女卑や家父長制の問題があります。

 

 

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