あらすじ・概要
世間では「暴力はいけないこと」とされている。しかし軍事侵攻のために抵抗したり、犯罪を犯した人を捕まえることも一種の「暴力」である。なぜ暴力が許される状況と許されない状況があるのか。暴力と社会のシステムとの関係を解説し、人間と暴力のこれからの付き合いを考える。
暴力を否定しないことで到達できる思考もある
「暴力はいけない」と言いつつも、この社会には様々な暴力があります。警察や軍隊、死刑執行、あるいはさまざまな刑罰、そしてヤクザや反社の犯罪組織。
「暴力はよくも悪くもない」という視点に基づき、社会的に許される暴力とは何か、許されない暴力とは何か、考えてみる本です。
そもそも暴力を否定しないところから始まる本書ですが、「暴力を否定しない」という考え方自体はさまざまな哲学者が行っていることでもあります。
なぜなら「やめろと言っても暴れる人」に対処する方法は暴力しかないからです。
秩序を守るために国家は警察権力や軍隊など暴力を持つ必要があります。それは上からの支配でそうなったというだけではなく、歴史的にそういう選択肢を取らざるをえなかったということでもあります。
「暴力はよくない」ということを教えられ続けていた子どもたちにはなかなかセンセーショナルでびっくりする内容かもしれません。
しかし本書のテーマはむやみやたらと暴力を肯定することではなく、暴力のコントロールについてきちんと考えるということです。
14歳に教えるにしては難解で危うい部分もありますが、思春期には世の中にある「道徳」について疑問を抱くものなので、教えてあげる方が誠実なのかもしれません。
『「みんな違ってみんないい」のか?――相対主義と普遍主義の問題』山口裕之 ちくまプリマ―新書 感想

